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NBA

ファンへの暴言、チケット剥奪、OBの出禁…ニックスのオーナー“狂人”ドーランの常軌を逸した行動【NBA秘話|後編】<DUNKSHOOT>

大井成義

2021.05.18

 ドーランという無能な船頭に率いられ、21年間かろうじて漂流してきた古豪ニックスも、そろそろ限界に達しつつある。2019年オフのケビン・デュラント(ネッツ)のような大物FAからは敬遠され、レジェンドのOBは出禁を食らい、応援団長のスパイクも愛想を尽かして一時身を引く決断を下した。“ミラクル・ニックス”でアシスタントコーチを務め、その後ブルズを強豪に育てた名将トム・シボドーを新たにヘッドコーチとして迎え入れたものの、泥舟ニックスは沈みゆく運命にあるのだろうか。

 いや、残された手がひとつだけある。ガーデンで頻繁にチャントされ、ハマースキーが面と向かって言い、アンチドーランの急先鋒であり、ドーランを“プロスポーツ界で最低最悪のオーナー”であると言ってはばからないケラーマンが度々口にするセリフがそれだ。

「チームを売れ、Mr.ドーラン!」
 
【追記】
 2021年2月23日、ガーデンでの今季初となる有観客試合が開催された。リーグが定めた入場者数上限は1981人。その約1か月後、3月21日に行なわれた対フィラデルフィア・セブンティシクサーズ戦、スパイクは約1年ぶりにガーデンへ姿を現わしている。大方の予想を覆し、躍進を続けるニックスの熱いプレーに我慢しきれなかったのだろう。観戦ボイコットがついに終了したのだった。

 これですべて円く収まるかと思いきや、別の場所で新たな火種が生じる。3月11日、ニックスのレジェンド中のレジェンドであるパトリック・ユーイングが、自らヘッドコーチを務めるジョージタウン大の試合で古巣ガーデンを訪れた際、セキュリティから入場許可証の提示を要求され足止めを食らう。試合後の公式会見で、「ここは俺のビルディングじゃなかったのか?」と怒りを顕にしたユーイング。

 その翌日、『First Take』に再びゲスト出演したスパイクは、次のように語った。「ドーランを非難するつもりはないが、ガーデンでは何かがおかしなことになっている。デレク・ジーターがヤンキー・スタジアムへの入場を止められるのを想像できるか?マジック・ジョンソン(元ロサンゼルス・レイカーズ)がステイプルズ・センターへの入場時に止められるか?マイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか)がユナイテッド・センターで足止めされるか? WTF!(What the fuck!)」

文●大井成義

※『ダンクシュート』2020年12月号掲載原稿に加筆・修正。
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