NBAでの1年目は平均17.5点とまずまずの成績。「あれほど身体能力に恵まれた選手は見たことがなかった」とヘッドコーチのケビン・ロカリーを驚かせたように、1メートルを超す跳躍力を生かした迫力満点のダンクで人気を集めた。同じスモールフォワードのダンクマスターということで、ジュリアス・アービング(ドクターJ)の後継者としても期待された。
その一方で「彼の得点が多いのは、むやみにシュートを打って味方にパスを出さないからだ」とマスコミに酷評されたり、試合前にダンクの練習に熱中しすぎて、肝心の試合中にスタミナ切れを起こすなどと、ゲームに臨む姿が疑問視された。
それでも「ダンクだけの選手だと思われたくない」との思いから精進を重ね、3年目からは10年連続25点以上。4年目の85―86シーズンには平均30.3点で得点王に輝いた。「毎年着実に成長しているし、そのために必要な強い意志を持っている特別な選手」(レニー・ウィルケンズ)と、周囲の評価も高まった。
■ジョーダン・バードらと戦った伝説の名勝負
すでに述べたように、84年から始まったスラムダンク・コンテストでは欠かせない存在となり、85年はジョーダンを決勝で破り初優勝。88年にもジョーダンとの再戦に挑んだ。惜しくも準優勝だったが「舞台がシカゴでなかったらドミニクが勝っていたはず」と囁かれたほどの熱戦で、コンテスト史上最高の名勝負として語り継がれている。
ダンクコンテスト以上にウィルキンスの名声を高めたのが、88年のカンファレンス準決勝第7戦だった。
この試合で、ウィルキンスはセルティックスのバードと壮絶なシュート合戦を繰り広げた。99-99の同点で迎えた第4クォーター残り6分弱の時点から、バードがセルティックスの21点中11点を一人で稼ぐと、ウィルキンスもホークスの19点中11点を返す。当代随一のスコアラー同士による意地の張り合いを、セルティックスのケビン・マクヘイルは「2人のボクサーが、至近距離で殴り合っているみたいだった」と表現した。
「バスケットが大きな井戸のように見えた。まったく外れる気がしなかった」と語った通り、ウィルキンスは23本中19本のシュートを成功させ、第4クォーターでの16試合を含む47得点を叩き出した。しかも当時最高のディフェンダーの一人であったマクヘイルを相手にしていただけに、なおさら価値があった。
第4クォーターだけで20点、合計34得点をあげたバードの活躍で、ホークスは2点差で敗れカンファレンス決勝進出を逃した。それでもウィルキンスに悔いはなかった。
「自分がプレーした中でも、これまで見た中でも最高の試合だった。すべてを出し尽くした。やり残したことは何もないよ」(後編に続く)
文●出野哲也
※『ダンクシュート』2009年3月号掲載原稿に加筆・修正
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その一方で「彼の得点が多いのは、むやみにシュートを打って味方にパスを出さないからだ」とマスコミに酷評されたり、試合前にダンクの練習に熱中しすぎて、肝心の試合中にスタミナ切れを起こすなどと、ゲームに臨む姿が疑問視された。
それでも「ダンクだけの選手だと思われたくない」との思いから精進を重ね、3年目からは10年連続25点以上。4年目の85―86シーズンには平均30.3点で得点王に輝いた。「毎年着実に成長しているし、そのために必要な強い意志を持っている特別な選手」(レニー・ウィルケンズ)と、周囲の評価も高まった。
■ジョーダン・バードらと戦った伝説の名勝負
すでに述べたように、84年から始まったスラムダンク・コンテストでは欠かせない存在となり、85年はジョーダンを決勝で破り初優勝。88年にもジョーダンとの再戦に挑んだ。惜しくも準優勝だったが「舞台がシカゴでなかったらドミニクが勝っていたはず」と囁かれたほどの熱戦で、コンテスト史上最高の名勝負として語り継がれている。
ダンクコンテスト以上にウィルキンスの名声を高めたのが、88年のカンファレンス準決勝第7戦だった。
この試合で、ウィルキンスはセルティックスのバードと壮絶なシュート合戦を繰り広げた。99-99の同点で迎えた第4クォーター残り6分弱の時点から、バードがセルティックスの21点中11点を一人で稼ぐと、ウィルキンスもホークスの19点中11点を返す。当代随一のスコアラー同士による意地の張り合いを、セルティックスのケビン・マクヘイルは「2人のボクサーが、至近距離で殴り合っているみたいだった」と表現した。
「バスケットが大きな井戸のように見えた。まったく外れる気がしなかった」と語った通り、ウィルキンスは23本中19本のシュートを成功させ、第4クォーターでの16試合を含む47得点を叩き出した。しかも当時最高のディフェンダーの一人であったマクヘイルを相手にしていただけに、なおさら価値があった。
第4クォーターだけで20点、合計34得点をあげたバードの活躍で、ホークスは2点差で敗れカンファレンス決勝進出を逃した。それでもウィルキンスに悔いはなかった。
「自分がプレーした中でも、これまで見た中でも最高の試合だった。すべてを出し尽くした。やり残したことは何もないよ」(後編に続く)
文●出野哲也
※『ダンクシュート』2009年3月号掲載原稿に加筆・修正
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