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NBA

「彼にもこの場にいてほしかった」引退会見でガソルが涙を堪え語った、自身のキャリアと盟友コビーへの思い<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2021.10.11

「この数か月は、自分のキャリアのなかでも最高の瞬間だった」

 引退会見の席でガソルはそう語ったが、16試合に出場したACBリーグで平均10.4点、5リバウンド、フィールドゴール成功率63.6%、3ポイント成功率45.8%をマーク。この数字は、短いプレータイムでも素晴らしい効率で仕事をしていたことを表わしている。

 そして今年7月、念願だった東京オリンピック出場が実現した。

 初めてシニア代表として出場した、2001年のユーロバスケットから20年。「メダルは獲れなかったけれど、家族のような仲間たちとともに戦えたことだけで、すでに大きな成功だった」とガソルは大会を振り返った。
 
 同じさいたまスーパーアリーナで戦った2006年の世界選手権(現ワールドカップ)では、アルゼンチンとの準決勝で19得点、11リバウンド、3ブロックと獅子奮迅の活躍を披露。しかし試合終盤、左足の第5中足骨を骨折し、退場するというアクシデントもあった。

 チームメイトの肩を借り、泣きながらコートを去るガソルの姿は印象的だったが、2日後の決勝戦でスペイン代表のメンバーは「パウのためになんとしてでも金メダルを獲る!」と誓い、準決勝でアメリカを破ったギリシャを70-42で下して見事金メダルを獲得。大会MVPにはガソルが選出された。その思い出の場所が彼の現役最後の舞台となったのは、ドラマチックな巡り合わせだ。

 ガソルの引退会見には、バルセロナで国内2冠を達成した2000-01 シーズンのチームメイトで、現在チームのヘッドコーチを務めるサルーナス・ヤシケビシャスと、スペイン代表や、短い期間だったがグリズリーズでも共闘した盟友フアン・カルロス・ナバーロも同席。この席で、ガソルは親愛なる元チームメイト、コビー・ブライアントにもメッセージを贈った。

「彼にもこの場にいてほしかったけれど……」と口にしたところで、涙がこみ上げ、言葉を詰まらせたガソル。

「彼は私に、良きリーダー、良きコンペティターであるにはどうすればいいか、そして、勝者であることの本当の意味を教えてくれた。ありがとう、コビー」
 
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