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NBA

バスケをより深く知るために。NBAのコーチやスカウトが注目する“アシストの前のアシスト”を解説<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2022.02.11

 そして最近、コーチやスカウトマンらの間で注目が高まっているのが、「カットアシスト」だ。これもスクリーンアシストと同様、ボールには絡まない。

 ボール保持者でない選手が動く=カッティングすることで相手ディフェンスを撹乱し、味方にシュートチャンスを与えるというもので、そこから得点が決まれば「アシスト」としての役割を果たしたことになるという解釈だ。

 このカッティングの効果について、かつてオーランド・マジックやデトロイト・ピストンズを率いたスタン・ヴァン・ガンディは、スポーツメディア『Bleacher Report』で「イージーバスケットのチャンスを生み出せる最適な手段」だと語っている。

 とりわけ武器にしやすいのは、3ポイントシュートを得意とするチームの場合。シューターにダブルチームがついた時、味方が的確な場所にカッティングして相手の1人を引きつけることで、シュートを楽に打たせることができる。
 
 言葉にすると、「そんなプレーは別に珍しくない」という気がするが、つい最近までこうした動きは減少の一途をたどっていたという。その理由のひとつは、「タイミングや場所を間違えばロールやペネトレイトする選手の邪魔になってしまう」と、指揮官たちが敬遠していたこと。カットインすることで相手を引きつけることは、空いていたスペースにわざわざ敵のディフェンダーを連れて行ってしまうことにもなるため、シンプルそうに見えてそのタイミングの見極めが難しく、普段のトレーニングから選手間で意識を共有しておく必要があるのだ。

 しかし頻繁にスイッチが行なわれたり、増えつつあるゾーンディフェンスといった現代の多様なゲームスタイルの対抗策として、指導者たちはカッティングの効果に再び注目しているという。

 もっともアシスト自体、本当にその得点に貢献していたか、という点でディベートの対象になりがちだ。一見パスミスに見えるものでも、シューターの力量のおかげでシュートが決まれはアシストにカウントされ、「必ずしもそのパスおかげで得点につながった」という根拠にはならない。それはセカンダリーアシストやスクリーンアシスト、カットアシスト、すべてに言える。

 ただ逆もしかりで、パスやスクリーン、カッティングが完璧だったとしても、シューターがシュートを外したり相手に阻止されればアシストは成立しない。

 なのでそうした議論はいったん脇へ置いた上で、今後ゲームを観戦する際は「セカンダリーアシスト」や「スクリーンアシスト」、「カットアシスト」といった部分にも注目してもらいたい。得点に至った過程やチームの戦術などが垣間見え、ビジョンやゲームメイクに長けた選手、真にチームに貢献している“気の利いた選手”も発見できるだろう。

文●小川由紀子
 
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