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NBA

カリー、ハーデン、デローザン――多くのスターを輩出しながら当たり感の乏しい不思議な年【NBAドラフト史|2009年】

大井成義

2019.11.21

3位指名ながらサンダーではシックスマンだったハーデンは、ロケッツ移籍後にエースに昇格し才能を開花させた(C)Getty Images

3位指名ながらサンダーではシックスマンだったハーデンは、ロケッツ移籍後にエースに昇格し才能を開花させた(C)Getty Images

■2年生PFのグリフィンが断トツの1位指名候補

 2008-09シーズンは、最下位がキングス(17勝65敗)、ブービーにウィザーズとクリッパーズ(19勝63敗)、続いてサンダー、ウルブズ、グリズリーズが下位チームに名を連ね、上位指名権獲得の好位置に付けていた。

 ニュージャージー州セコーカスにあるNBA施設でドラフト・ロッタリーが行なわれたのは5月19日。お約束のごとく確率通りの結果には終わらず、1位指名権を獲得したのは3番目の確率(17.7%)を手にしていたクリッパーズ。2位指名権も、6番手(7.5%)から大きくジャンプアップしたグリズリーズが奪取し、一方でキングスとウィザーズは順位を大きく下げる結果となった。

 万年Cクラスのクリッパーズにとって、球団創設以来3度目となる1位指名権の獲得は、殊のほか喜ばしいものだった。1988年に獲得したダニー・マニングは中ハズレ、1998年のマイケル・オロウォカンディに至っては歴代屈指の大ハズレ。10年おきに巡ってくる幸運の波にまったく乗ることができず、泥沼からなかなか抜け出すことのできないクリッパーズにとって、この年の1位指名権獲得は大きな転機になり得た。なぜなら、1位指名の大本命が図抜けた選手だったからである。

 この年の1位指名は、オクラホマ大2年の怪物PF、ブレイク・グリフィンが確実視されていた。ドラフトの4日前、とある地方紙が特集記事に付けたタイトルは〝NBAドラフト:グリフィンの後は、多くの無名(選手)たち”というもの。1位指名選手が完全に一択状態だったのは久しぶりで、グリフィン以前となると2003年のレブロンまで遡らなければならない。
 
 人並外れたパワフルなプレーと超弩級のダンクを武器に、高校時代からその名を全米に轟かせていたグリフィンは、カレッジの世界でも存在感を存分に発揮した。特に2年時のパフォーマンスは圧巻で、シーズン504リバウンドは1979年にラリー・バードがマークした505に次ぐ当時2位の記録(現在の1位は2011年にケネス・ファリードがマークした508)。

 また1シーズンの平均リバウンド数14.4も歴代トップ10にランクインし、ダブルダブル達成回数30は、87年にデイビッド・ロビンソンがマークした31回に次いで歴代2位タイの記録となっている(同2位は1960年のジェリー・ウエストと、1985年のゼイビア・マクダニエル)。グリフィンは2年時にほぼすべての主要個人アウォードを受賞し、全米の注目を一身に浴びる中、プロ入りを宣言したのだった。

 グリフィンに次いで3位以内の指名が予想され、話題の的となっていたのが、14歳でプロデビューを果たし、史上最高の欧州出身PGの呼び声高い〝スパニッシュ・センセーション”ことリッキー・ルビオ。スペインのプロチームでプレーする弱冠18歳の天才PGは、前年の2008年に開催された北京オリンピックにおいてスペインの銀メダル獲得に貢献、世界中にその名を知らしめた。決勝で対戦したアメリカチーム内でも、ルビオのプレーが大きな話題となるほどだった。
 

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