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NBA

「ボールに触ってないと感じたら、遠慮せず言ってこい」好調ペイサーズを牽引する司令塔ハリバートンの凄さとは?<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2022.12.04

 ポイントガードには、プレー全体の流れのなかでチャンスメークに主軸に置くタイプと、アシストを重点的に担うタイプがいる。ハリバートンは明らかに前者だ。アシストランキングで彼に次いで2位のトレイ・ヤング(9.6/アトランタ・ホークス)などは後者だろう。

 ハリバートンは、パス回数(76.2)でもリーグ首位だが、ヤングは44.9。またこの2人のセカンダリーアシスト(アシストの前の起点のパス)を比べても、ハリバートンは1.1、 ヤングは0.4と、2人のプレースタイルの違いを炙り出している。

 キングス時代は、ディアロン・フォックスという先輩ガードがいて、ボールの動きを司るのは、主に彼の役目だった。だがペイサーズに来て、その役割を担うようになったことが、ハリバートンが本来持っていた能力を開花させたとも言える。

 マサリンは、「彼はまったく私欲がないんだ。彼が望んでいるのは、いかにチームを助けられるか、ということだけなんだ」とコメントしているが、ある試合で、マサリンがあまりボールに触れていなかったと感じたハリバートンは、試合後、彼に直接こう言ったそうだ。

「ボールに触っていないな、と感じたら、遠慮せずにどんどん言ってこい。熱くなっている時の会話なんだ。どんな言い方かなんて気にしなくていい。お前をリスペクトしているんだから、大丈夫だ」
 
「ルーキーの方からそういうことはなかなか言い出しにくいだろうから」と思いやっての発言だったと、彼は米メディア『The Ringer 』のインタビューで話している。NBAデビューしたての新人が、先輩からそんな声をかけられたら有難いに違いない。

 ハリバートンは、その試合のビデオを見返して、「この場面でマサリンはボールにあまり触れていなかったな。(彼は)もっと点を取れたはずだ。改善するにはどうしたらいいか考えよう」と自分にダメ出しをしたそうだが、そんな風に常にチームメイトのパフォーマンス向上を考える司令塔がいることは、今シーズンのペイサーズの好調さと無縁ではない。

 冒頭に挙げたレイカーズ戦で値千金の決勝弾を決めたネムバードにしても、ペイサーズに逆転勝利をもたしただけでなく、あの経験をしたことは、彼の今後のキャリアに大きくプラスとなったはずだ。

 昨シーズンは25勝57敗(勝率30.5%)でリーグ26位に終わったペイサーズは、すでにその約半分の12勝(10敗/勝率54.5%)をあげてイースト・カンファレンス5位、全体11位と大奮闘している。

 ハリバートンとマサリンのホットラインや、ハリバートンの初オールスター出場といったトピックスも併せて、今季注目したいチームだ。

文●小川由紀子
 
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