75年にはアジア初、現存するリーグではNBAに次ぐ歴史を持つプロリーグとしてPBA(Philippine Basketball Association)が誕生する。国内のトップクラスの選手たちがこぞって参加し、トヨタ、ホンダなどの日本企業がチームを持っていた時期もあった。
初期のPBAを最も盛り上げ、ロイサガとともに英雄視されているのが、人気チームのトヨタに在籍していたロバート・ジャウォルスキーだ。フィリピンのマジック・ジョンソンとも呼ぶべき大型ポイントガードで、ビハインド・ザ・バック・パスなどの魅せるプレーを得意としていた。
ただし、マジックとの違いは勝利のためならラフプレーも辞さない武闘派だった点で、ヒーローとヒールの両面を併せ持っていた。52歳まで現役を続けただけでなく、最後の14年間はヘッドコーチも兼任し、実の息子とも同じチームに所属。現役時代から芸能活動(PBAにはこのような選手は珍しくない)を行ない、引退後は政界へ打って出て上院議員を務める、濃すぎるキャリアを送った。
そのジャウォルスキーとはトヨタでチームメイト、のちに袂を分かち最大のライバルとして鎬を削ったラモン・フェルナンデスは、ロイサガ同様に多彩な能力を持つ痩身のセンター。PBAのMVPを4度受賞、とりわけ84年には平均27.8点、11.2リバウンド、9.9アシスト、1.5スティール、2.1ブロックという驚異のオールラウンダーぶりを発揮した。通算得点とリバウンド、ブロックは今でもリーグ記録であり、スティールも引退時点で1位だった。
また、現在のフィリピンの英雄と言えばボクシングの元世界王者マニー・パッキャオだが、彼もPBAでのプレー経験がある。優れたバスケット選手だったわけではなく、自身がヘッドコーチを務めるチームで自らをドラフトで指名し実現したもの。36歳でデビューし通算10試合で3ポイント1本を含む13得点をあげた。NBAでは絶対にあり得ないこんなことが許されるのも、フィリピンという国、PBAというリーグの魅力のひとつではある。
このような栄光の歴史を持つフィリピンだが、現在のFIBAランキングでは40位。アジアでも6位(※オセアニア諸国を除く)に過ぎず、36位の日本の後塵を拝するようになっている。NBAでも日本人は渡邉雄太と八村塁が活躍しているのに対し、フィリピン国籍の選手はこれまで一人もいない。ジョーダン・クラークソンやジェイレン・グリーンのようにフィリピンの血を引き、代表チームに参加した経験のある者はいるけれども、フィリピンで生まれ育った「生粋のフィリピノNBAプレーヤー」はいまだ誕生していないのだ。
初期のPBAを最も盛り上げ、ロイサガとともに英雄視されているのが、人気チームのトヨタに在籍していたロバート・ジャウォルスキーだ。フィリピンのマジック・ジョンソンとも呼ぶべき大型ポイントガードで、ビハインド・ザ・バック・パスなどの魅せるプレーを得意としていた。
ただし、マジックとの違いは勝利のためならラフプレーも辞さない武闘派だった点で、ヒーローとヒールの両面を併せ持っていた。52歳まで現役を続けただけでなく、最後の14年間はヘッドコーチも兼任し、実の息子とも同じチームに所属。現役時代から芸能活動(PBAにはこのような選手は珍しくない)を行ない、引退後は政界へ打って出て上院議員を務める、濃すぎるキャリアを送った。
そのジャウォルスキーとはトヨタでチームメイト、のちに袂を分かち最大のライバルとして鎬を削ったラモン・フェルナンデスは、ロイサガ同様に多彩な能力を持つ痩身のセンター。PBAのMVPを4度受賞、とりわけ84年には平均27.8点、11.2リバウンド、9.9アシスト、1.5スティール、2.1ブロックという驚異のオールラウンダーぶりを発揮した。通算得点とリバウンド、ブロックは今でもリーグ記録であり、スティールも引退時点で1位だった。
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このような栄光の歴史を持つフィリピンだが、現在のFIBAランキングでは40位。アジアでも6位(※オセアニア諸国を除く)に過ぎず、36位の日本の後塵を拝するようになっている。NBAでも日本人は渡邉雄太と八村塁が活躍しているのに対し、フィリピン国籍の選手はこれまで一人もいない。ジョーダン・クラークソンやジェイレン・グリーンのようにフィリピンの血を引き、代表チームに参加した経験のある者はいるけれども、フィリピンで生まれ育った「生粋のフィリピノNBAプレーヤー」はいまだ誕生していないのだ。
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