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NBA

キャリア最終盤で見せた真剣勝負!コビーが唯一止められなかった男とその友情物語【後編】

大井成義

2020.01.29

コビー自身は最も苦戦したのはデュラントと語る。両者はレギュラーシーズンで25回対戦しているが、平均得点は27.3対25.4でデュラントが上回っている。(C)Getty Images

コビー自身は最も苦戦したのはデュラントと語る。両者はレギュラーシーズンで25回対戦しているが、平均得点は27.3対25.4でデュラントが上回っている。(C)Getty Images

■最後の対戦後に明かしたKD流のコビーへの感謝の意

 2007年のNBAデビュー当時、デュラントは19歳。コビーはプロ12年目の29歳で、2度目の連覇を目前に控え、脂が乗り切っていた時期でもあった。それから9シーズンに渡り、コビーとデュラントはポジションこそ違えど、レギュラーシーズンとプレーオフを合わせて計36試合で相まみえている。

 コビーはアキレス腱を断裂した13年以降、年齢の問題に加え大きな故障を繰り返したこともあり、かつての輝きを取り戻すことはなかった。それでも、2人のスターが繰り広げる激しいバトルの密度は格別に濃く、バスケットボールに向き合う姿勢や実力を認め、深くリスペクトしあっていたという。

 2015年11月、37歳のコビーはついに引退を表明する。キャリア最終となる2015-16シーズンは“さよならツアー”と化し、メディアやファンが異様な盛り上がりを見せた。そんななか、コビーとデュラントの間で交わされた2つの小さなエピソードがある。どちらもささいな出来事だが、2人の関係性や人柄をそこはかとなく反映しており、心に残る逸話となっている。

 コビーのキャリア最終戦が、レイカーズのホームアリーナで開催されたのは2016年4月13日。その2日前に行なわれた最後のアウェーゲームの相手は、デュラントが所属するサンダーだった。2014年にレギュラーシーズンMVPを獲得したデュラントは、レブロンとともに歴代のスーパースターが受け継いできたバトンをコビーから受け取ると目されている選手。その日の試合も、コビー対デュラントのマッチアップ、そして2人のコメントに注目が集まっていた。デュラントはリスペクトするコビーとの最後の対戦を終えた後、どんなはなむけの言葉を送るのだろうか。
 
 試合後のロッカールーム、囲み取材でデュラントの口から発せられた言葉は、メディアの予想を覆すショッキングなものだった。“俺はコビーをデストロイ(粉砕)したかった――”。それは、デュラント流の、コビーに対する最大限の感謝の意だった。

「マイケル・ジョーダンがコートを去る時、コビーは彼に対し手心を加えたりしなかった。俺が考えていたのはそれだけだ。手に入れたすべてのチャンスで、俺はコビーを打ち砕くべくトライしたよ。俺がボールを手にするたびに、彼は『かかってこい、お前に何ができるか見てみようじゃないか』といった感じだった。そのことは、彼がどんなタイプの選手であり、どんなタイプのコンペティターであるかを示している。俺は彼と最後にもう一度真剣勝負をしたかった。それだけだよ」

 同じくラストシーズンに、レイカーズ対サンダーの試合がステイプルズ・センターで行なわれた時のエピソードである。コビーとシューズの交換をしていたことを、試合後の囲み取材でリポーターから指摘されたデュラントのコメント。

「誰にも言わないでよ。感傷的なやつだなんて思われたくないから」

 デュラントのバッグに、コビーのシグネチャーシューズのコビー11がぶら下がっていたそうだ。それを目にした『ESPN.com』のNBAライター、ロイス・ヤングがツイートしている。

“ケビン・デュラントとコビー・ブライアントがシューズを交換。デュラントにあげたシューズに、コビーはこう書き込んでいた。”

“To KD, be the greatest !”

【PHOTO】「Mr.レイカーズ」&「Mr.NBA」史上最高のスーパースター、コビー・ブライアント特集!

文●大井成義

※『ダンクシュート』2019年10月号より転載
 
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