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NBA

「最後まで名前は呼ばれなかった……」屈辱のドラフト漏れを経て、サンダーのドートがリーグ最高級のディフェンダーとなるまで<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2025.04.07

 のちにインタビューでこのドラフトの夜を振り返っているのだが、なんともほろ苦い思い出だったことが伝わってくる。

「ドラフトの時は“次は彼か?”というような感じで自分の前にカメラが来るんだ。名前を呼ばれた瞬間のリアクションをとらえるためにね。僕のところにも10回くらい来たよ。そのたびに、“次は俺なのか?俺の名前が呼ばれるのか?”と期待した。でも結局、最後まで名前が呼ばれることはなかった……」

 足取りも重く会場を後にした彼の元に、サンダーのサム・プレスティGM(ゼネラルマネージャー)からコールが届く。そして2WAY契約を結ぶ運びとなったが、初めてクラブを訪問する日も、彼の気分はどん底状態だったという。

 しかしドートを迎えに来たアシスタントGMの言葉が、彼にモチベーションを与えた。

「ドラフトは始まりにすぎない。今、君は入団して、長いキャリアを歩み始めたんじゃないか。自分が最終的にどこまで行けるのか、見極めるんだ」
 
 実際、ドートが入団したタイミングは、振り返ればパーフェクトだったとも言える。

 それまでフランチャイズプレーヤーとして11年間チームを引っ張ってきたラッセル・ウエストブルック(現デンバー・ナゲッツ)が去り、新たに次世代を担うエースプレーヤー、シェイ・ギルジャス・アレキサンダーを迎えて新時代を築いていこうという変換の年。

 そしてこの時アシスタントコーチで、彼のワークアウトを担当する中心人物だったダグノーが、翌2020-21シーズンからヘッドコーチとなった。

 さらに、新型コロナウィルスによるパンデミックでシーズンが中断したことも、ドートにとっては追い風となった。

 1月中旬から、3月半ばにリーグが中断するまでの約2か月間、スターターとしてプレータイムを得ていたことで、彼の頭の中にはこのチームで自分が強みにできる点、逆にもっと伸ばした方がいい点についてのイメージができつつあった。そのタイミングでシーズンが中断となったことで、彼はそうした課題に向き合う時間を得たのだ。
 
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