ペイサーズが真っ先に警戒すべき選手はもちろんSGA。今プレーオフで平均29.8点、5.7リバウンド、6.9アシスト、1.56スティールを記録する26歳は、レギュラーシーズンでペイサーズ相手に平均39.0点、8.0アシストにフィールドゴール成功率55.6％、３ポイント成功率63.6％、フリースロー成功率91.3％と相性も良い。

　ニューヨーク・ニックスとのカンファレンス・ファイナルで、ジェイレン・ブランソン相手に好守を見せたアーロン・ネスミスは、アンドリュー・ネムハードとともに対SGAのディフェンダーとして対峙することが見込まれる。

「あの２人は個人として見事なスコアラーだし、才能にあふれた選手でもある。ファウルをもらうためにどうやって身体を使うかをよく理解していて、自身のスペースを確保してミッドレンジジャンパーまで持ち込んでいく。彼らには似ている点がいくつもあるんだ」
  　SGAとブランソンの共通点についてそう指摘したネスミスは、リーグMVPとのマッチアップに向けてこうも発していた。

「俺は自分の相手をガードすることにプライドを持っている。映像をよく観て向上してきた。『俺からは点を取れやしない』というマインドセットでいる。スクリーンにはかからないし、戦い抜いてみせる。48分間にわたって彼の仕事を難しくさせるよ」

　ペイサーズはシアカムとハリバートンを中心に、今プレーオフで計６人が平均２桁得点を残すなど、日替わりでヒーローが生まれる選手層の厚さが武器。相手に的を絞らせない攻撃と、前線からプレッシャーをかけていくタフな守備で、フランチャイズ史上初のNBAタイトルを目指す。

文●秋山裕之（フリーライター）