ウェイドは2006年にヒートを初優勝へ導いたシューティングガードで、2012、13年の連覇を含め３度のチャンピオンシップを獲得。NBA75周年記念チーム選出や殿堂入りも飾った、ヒートを象徴するレジェンドだ。

　その憧れの人物と同じチームに加入したパウエルは来季、タイラー・ヒーローと先発バックコートを形成し、アンドリュー・ウィギンズ、バム・アデバヨ、ケレル・ウェアとともにスターターを形成することが予想されている。

　パウエルは抜群の身体能力に加え、昨季キャッチ＆シュートの３ポイント成功率45.2％を記録したように、流れの中で得点を量産できるユーティリティプレーヤーでもある。

「僕は自分がカギを握る存在だと思っていて、１、２番手としてチームを勝利へ導く助けができる。いつだってゴー・トゥ・ガイなんだと信じてきた。だからといって、自分が『メインガイにならなきゃいけない』という大きなエゴは持っていない」

　自身の立ち位置をそう分析するパウエルは、こうも語っていた。
  「僕は勝ちたい。そして機会さえあればオールスターにだってなれる。今年（昨シーズン）は機会を手にして、それを見せつけた。オールスター投票（ウエストのガード部門）でトップ10に入ったし、僕が落選したと話題にする人もいた。僕がオールスター入りすべきだとね。

　僕は多才さが売りだし、どんな役割でもうまくこなせると思う。ペイントアタックからチームメイトたちにオープンショットを作り出すことだってできる。僕とバムのピック＆ロールで、みんなのプレッシャーを取り除いてみせるよ」

　現在ヒートは６シーズン連続でプレーオフに出場中。ただ、ここ２年は１回戦敗退に終わっているだけに、パウエルにかかる期待は大きい。爆発力を備えたスコアラーがフィットすれば、オフェンス面の破壊力は確実に増すはずだ。

文●秋山裕之（フリーライター）