実際チェスは、アスリートの中でも近年、人気が急上昇している。

　「チェスは僕に忍耐力、先を読む力、そしてプレッシャーの下でも冷静さを保つことを教えてくれた。自分のように育った子供たちに、その機会を与えてあげたい」

　このように語るレジェンドのデリック・ローズ（元シカゴ・ブルズほか）も、今月13日にラスベガスでチェスイベントを共同主催。

　イベントには、ラジョン・ロンド（元ボストン・セルティックスほか）やグラント・ウィリアムズ（シャーロット・ホーネッツ）ら、NBA仲間も参戦した。

　また、昨年のパリ五輪メダリストでフランス卓球界期待の新星であるアレクシス＆フェリックスのルブラン兄弟も、プレッシャー下での判断力と決断力を鍛えるべくトレーニング時には卓球とチェスを交互にプレーしている。

　そしてウェンバンヤマ自身も、同じようなエクササイズを日常の練習ルーティンに取り入れている。
  　パリでのイベントでは、“インターナショナル・マスター”の称号を持つフランス人チェスプレーヤーのジュリアン・ソングと、ウェンビーがお手合わせする一幕も。

「あなたと対戦するのは、レブロン・ジェームズやステフィン・カリーと対戦するより緊張する」と真剣な表情でチェス盤を睨んでいたウェンビー。勝負はさすがにマスターが制した。

　さらに会場には、フランス代表の同僚ルディ・ゴベア（ミネソタ・ティンバーウルブズ）も登場。大先輩との対戦は、ゴベアの時間切れによりウェンビーが勝利した。

　この日はあいにく悪天候に見舞われ、屋外のバスケ試合の開始時間をずらすなどのハプニングもあったが、ウェンビーは今回のイベントに大満足で、すでに次回の開催について考えているようだ。

“一般人に近いスーパースター”、という新世代のスター像を体現するウェンバンヤマは、スポーツやカルチャー、ライフスタイルなど、多方面で人々に刺激を与える、超大型インフルエンサーと言えるだろう。

文●小川由紀子

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