また、バックスには「ベンチから出てきて、チーム力を高いままキープできる選手たちがたくさんいる」とディビンチェンゾが語ったとおり、戦術理解度が高い、献身的なバックアップが控えている。コーバーも「出場時間で文句を言うような選手はこのチームにはいない。みんながフレッシュであり、毎晩ハードにプレーするんだ」とロースターにいる選手たちを称えている。

　とはいえ、バックスと言えばやはりアデトクンボだ。211cm・109kgの恵まれたサイズと類い稀な身体能力を兼備する規格外の万能戦士は、しかしながらそれらだけに頼らず、ＮＢＡ入り後も自らの肉体をいじめ続け、ハードなトレーニングを課して現在の地位まで上りつめた。このチーム最大の強みは、アデトクンボを中心に生まれた強固なケミストリーと言っていいだろう。
  　今季からチームに加わったコーバーは「俺たちは本当に、互いのことが大好きなんだ。このチームには『自分で得点を取りたい』というようなヤツはいない」と切り出すと、「ベストプレーヤー（アデトクンボ）がチームのトーンをセットする。彼がそうすることで、周りにいる選手たちも影響されて、それが全員にも浸透していくんだ」と上質なチームケミストリーを高評価し、さらにこう続けて話した。

「それがこのチームに特別な結びつき、一体感を生み出しているんだと思う。それはベストプレーヤーたちから始まっている。特にヤニスがどれだけ彼自身をストイックにコントロールしているか。彼の一挙手一投足が、このチームを突き動かしているんだ」

　シーズンが始まってからも、チームケミストリーを醸成し続けているバックス。コート内外で見事なハーモニーを奏でるチームが、史上３チーム目の70勝を達成する可能性は十二分にあると言っていいだろう。

文●秋山裕之（フリーライター）

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