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NBA

【コビー・ブライアント物語・Part2後編】全米を巻き込む一大スキャンダルによってすべてを失った苦悩の日々

大井成義

2020.03.18

06年1月のラプターズ戦で歴代2位の81得点を奪うなど、同年はハイスコアゲームを連発。自己ベストの平均35.4点を叩き出し、キャリア初の得点王に輝いた。(C)Getty Images

06年1月のラプターズ戦で歴代2位の81得点を奪うなど、同年はハイスコアゲームを連発。自己ベストの平均35.4点を叩き出し、キャリア初の得点王に輝いた。(C)Getty Images

■NBA史上2位の81得点を奪取するも、チームはプレーオフ1回戦止まり

 迎えた04-05シーズン。心機一転、新たなスタートを切ろうと意気込んでいたコビーに、逆風は思いもよらぬところから吹いてきた。ジャクソンが10月に出版した著書『The Last Season』の中で、コビーを「コーチング不可能な選手」と痛烈に批判。世間のコビーバッシングに拍車をかけた。

 コビーは前年に比べ、個人成績を引き上げてみせたものの、チームの勝利には結びつかなかった。コビーの意気込みとは裏腹に、レイカーズは34勝48敗と低迷し、11年ぶりにプレーオフ進出を逃してしまう。

 シャックやジャクソンの力に頼らずとも、自分の力で王朝を復活させてやると息巻くコビーに対し、周りの反応は冷ややかだった。結果がすべての世界、コビー1人の力や熱意だけでは勝負に勝てない、そう思われても仕方がなかった。そしてついに、ジャクソン待望論が巻き起こる。

 翌05-06シーズン、1年ぶりにジャクソンがHCに復帰する。過去のわだかまりを捨て、お互いに腹の中をさらけ出して話し合った。それで吹っ切れたのか、シーズンが始まるとコビーは凄まじいプレーを連発する。40点以上を記録すること27回、1月には驚異の81得点をマーク。伝説の巨人、ウィルト・チェンバレンの100点に次ぐ歴代2位の記録だった。
 
 シーズン平均でもキャリア最高となる35.4点をマーク。平均35点以上を記録した史上4人目の選手となり、初の得点王に輝いた。チームは45勝37敗でプレーオフ復帰を果たしたが、レギュラーシーズンMVPを獲得したスティーブ・ナッシュ率いるサンズとの1回戦に、3勝4敗で惜敗する。

 プレーオフの最中、ブライアント家に吉報が訪れた。06年5月1日、ヴァネッサが第2子となる女の子を出産し、ジアナと名付けられた。

 06-07シーズンより、コビーは背番号を8から24に変更する。高校時代の最初の番号が24で、ルーキー時は使用されていた。8は、ABCDキャンプ時の背番号143を足した数字だった。

 気分を新たに迎えたこのシーズンも、コビーの孤独な戦いは続いた。4試合連続を含む10回の50点以上を記録し、平均31.6点で2年連続となる得点王を獲得。42勝40敗でプレーオフ進出を果たしたが、再び1回戦でサンズに1勝4敗の惨敗を喫してしまう。孤軍奮闘しながらもサポーティングキャストに恵まれず、苛立ちを隠さないコビーと、なかなか結果の出ないチームに不満を募らせるレイカーズファン。それは、いつかどこかで見た風景だった。

文●大井成義

※『ダンクシュート』2020年4月号より転載
 
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