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NBA

【コビー・ブライアント物語・Part3前編】探し求めていた“チーム”を作り上げ 大黒柱としてレイカーズを復活に導く

大井成義

2020.03.20

10年ファイナルでは08年に敗れたセルティックスに雪辱。エースは最終戦でFG成功率25%と不振に陥ったが、チーム力で宿敵を撃破し、連覇を成し遂げた。(C)Getty Images

10年ファイナルでは08年に敗れたセルティックスに雪辱。エースは最終戦でFG成功率25%と不振に陥ったが、チーム力で宿敵を撃破し、連覇を成し遂げた。(C)Getty Images

 翌09-10シーズンは、ケガに悩まされ続けた。12月の試合で右手人差し指を剥離骨折するも、欠場することなくシーズン通算で6度決勝点を決めている。2月には、ウエストが持つレイカーズの個人通算得点記録(2万5192点)を、同じ14年目で上回った。

 シーズン後半にコビーがケガで9試合欠場するなど、チームの状態は万全とは言いがたかったものの、新加入のロン・アーテスト(現メッタ・ワールドピース)が奮闘。選手層は着実に厚みを増していた。終わってみれば57勝25敗とカンファレンス首位の座を死守し、戦いはプレーオフの場へと移っていった。

 相手チームに2勝以上許さず、順調に勝ち上がり3年連続でのファイナル進出を決める。迎えるは、2年前に敗北を喫した因縁の相手セルティックス。前回と違うのは、レイカーズは前年度王者として臨むファイナルであり、2年前の雪辱を果たす上でも、絶対に負けるわけにはいかなかった。

 リーグきってのライバル同士による伝統の一戦の幕が切って落とされた。第5戦に勝利したセルティックスが最初に王手。だが第6戦にコビーがダブルダブル、ガソルもトリプルダブルで踏ん張り、勝負の行方は最終第7戦に持ち込まれた。
 
 古豪セルティックス対名門レイカーズ。NBAファイナル第7戦。世界中のバスケットボールの戦いにおいて、これ以上の舞台はないだろう。第3クォーター途中にこの日最大となる13点のリードを許したレイカーズだったが、コビーの連続得点で食らいつく。息詰まる接戦を4点差で制したのは、レイカーズだった。

 2連覇、そしてファイナルMVPも2年連続でコビーが受賞。レイカーズにとって最大の宿敵に対し、2年前の雪辱を地元ファンの目前で、それも第7戦に逆転勝利しての劇的な優勝だっただけに、喜びもひとしおだった。両チームは過去12回ファイナルで相まみえているが、第7戦をレイカーズが制したのはこの時が初めてである。

 コビーにとってセルティックスは、子どもの頃から永遠のライバルチーム。5度の優勝のうち、この回に最も満足していると後に語っている。さらには、この優勝で最大の悲願だったシャックの優勝4回を超えることができた。

 ロッカールームでのシャンパンファイトも、とびきりの盛り上がりを見せた。こんなシーンが映像に残っている。シャンパンファイトの最中、コビーの肩に腕を回してきた興奮状態のアーテストとの会話だ。

コビー:「俺は言っただろ?(リングが)手に入るって言っただろ?」
アーテスト:「コビーが俺にリングをゲットしてくれた! ちくしょうめ!」

 コビーが探し求めていた〝チーム〞の姿が、ここにはあった。

文●大井成義

※『ダンクシュート』2020年4月号より転載。

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