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NBA

【コビー・ブライアント物語・Part3後編】相次ぐケガで輝きを失うも、現役最終戦で伝説のパフォーマンスを演じ有終の美を飾る

大井成義

2020.03.20

ラストシーズンは平均17.6点に終わったものの、最終戦で60得点を奪取。神がかり的な活躍で世界中のファンを熱狂させ、20年間の現役生活に別れを告げた。(C)Getty Images

ラストシーズンは平均17.6点に終わったものの、最終戦で60得点を奪取。神がかり的な活躍で世界中のファンを熱狂させ、20年間の現役生活に別れを告げた。(C)Getty Images

 そして最後に奇跡は起きた。キャリア最終試合となった4月13日の対ジャズ戦、コビーは60得点をマークし、チームを劇的な逆転勝利に導く。ハリウッドの脚本家にも書けない、あまりにも出来すぎたエンディング。そのシーズンにおけるリーグ最多得点であり、これまでの現役最終試合での最多得点記録を大幅に更新してみせたのだった。

 コビーは18歳の時、「史上最も偉大なレイカーになりたい」と語っている。この日、試合前のセレモニーで司会を務めたのが、子どもの頃のアイドルだったマジック・ジョンソン。マジックはスピーチの中で、コビーを「これまでのレイカーズで最も偉大な選手」と讃えた。それは、コビーが若い頃に抱いた夢がついに叶った瞬間でもあった。
 
 そして、試合最後のタイムアウトの時、コビーが自ら歩み寄り、チームの選手以外で唯一抱き合った男がいた。コートの最前列で観戦していたシャックである。2人はハグを交わしながら耳元で一言二言会話し、コビーはシャックの胸を平手で1発叩いてからベンチへと戻った。相変わらずシリアスな表情のコビーと、満面の笑みをたたえるシャック。この数秒間の短いシーンに、紆余曲折のあった2人の物語の、すべてが詰まっていたような気がする。

 試合終了後のセレモニー。アリーナに残ったすべての観客と、世界中から集ったメディア、さらにはかつてレイカーズで一緒にプレーした大勢の仲間たちが見守る中、コビーは最後のスピーチを行ない、笑顔でこう言い残してマイクをコートに置いた。

〝What can I say? Mamba out.〞

 かくして、ブラックマンバは伝説となった。

文●大井成義

※『ダンクシュート』2020年4月号より転載。

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