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NBA

【コビー・ブライアント物語・Part2後編】全米を巻き込む一大スキャンダルによってすべてを失った苦悩の日々

大井成義

2020.03.18

03年オフのスキャンダルにより人気が急落。シーズン中にも裁判が行なわれ、アウェーでは相手ファンから激しいブーイングを受けた。(C)Getty Images

03年オフのスキャンダルにより人気が急落。シーズン中にも裁判が行なわれ、アウェーでは相手ファンから激しいブーイングを受けた。(C)Getty Images

■全米を揺るがすスキャンダルで、積み上げてきた富と名声を失う

 03年1月19日、ヴァネッサが第一子を出産した。ナタリアと名付けられた女の子は、コビーに安らぎの時を与えてくれた。ところが、直後に強烈な試練がコビーを襲う。迎えたオフ、ブライアント家に大打撃を与え、自らの人間性を全否定しかねない重大事件を引き起こしてしまうのだった。

 6月30日、コロラド州イーグル郡ベイルの医療施設でコビーは右ヒザの関節鏡手術を受けることになっており、その前日、近隣のエドワーズにあるリゾートホテルにチェックインした。そこで、ちょうど非番となったコンシェルジュ兼フロント係の19歳の白人女性と出会い、コビーは一夜を共にする。
 
 翌日、女性は両親と連れ立って郡の保安官事務所に出向き、コビーからレイプされたと通報。手術を受けた日の夜、保安官がホテルを訪れコビーを連行、DNAを採取される。女性との性交渉は認めたものの、合意の上だったと主張。ここから、事件は全米を揺るがす一大騒動へと発展していく。若きスーパースターのスキャンダルに世界中からメディアが群がり、取材村は“コロラドキャンプ”と呼ばれた。

 4日後、婦女暴行容疑で逮捕状が発行される。保釈金を支払い即時釈放されたが、その後1年以上にも渡り裁判は続いた。後に、相手女性の過去や事件直前の行動に複数の問題点が浮上し、騒動に拍車をかける。とはいえ、コロラド州は性犯罪に極めて厳しい州であり、最悪の場合終身刑もあり得た。

 検察側が訴追を取り下げて決着を見たものの、連日の過熱報道でコビーのイメージは完全に地に落ちてしまった。マクドナルドをはじめとする多くの企業がスポンサーから撤退。後にコビーは、「ナイキ以外のすべてのメジャースポンサーが手を引いた」と語っている。ジャージーの売上も急激に落ち込み、全米のアリーナでブーイングを浴びた。女性は賠償金を求めて訴訟を起こし、最終的に示談が成立。コビーは代理人を通して謝罪文を発表した。
 
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