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NBA

海外出身NBA選手のモデルケース?ロシアが生んだ“万能戦士”キリレンコが協会会長に上り詰めるまで

小川由紀子

2020.04.14

2017年のユーロバスケットで自国の選手を讃えるキリレンコ。会長職は多忙だというが、その成果は着実に表れている。(C)Getty Images

2017年のユーロバスケットで自国の選手を讃えるキリレンコ。会長職は多忙だというが、その成果は着実に表れている。(C)Getty Images

 ロシアバスケットボール協会の「会長職」は、肩書きだけの名誉職とは程遠く、あらゆる世代の代表チームの運営から、草の根レベルでの競技振興、レフェリーやコーチ陣の管理、政府や自治体との折衝も行なうなど、日々、実務をこなす多忙なポストである。

「実際、仕事量は膨大だ。キッズのミニバスから代表まで、ロシアにおけるすべてのバスケットボール活動を管轄するというのは、非常に挑戦しがいのある任務だよ」

 キリレンコはユタの地元紙のインタビューでそう語っている。

 そして、就任当初から最も苦心しているのが資金繰りだ。

「代表チームにスポンサーが集まるような、魅力的な工夫をしたいと考えているところだ。すでに人々が代表チームを見る目は変わってきている。結果が良い時だけ注目されるのではなく、ファンにとって選手たちはより身近な存在にならなければいけない」
 
 着任直後のユーロバスケットは、前述の協会のゴタゴタも影響し、主力選手が辞退するといった問題もあって24チーム中17位と惨敗。リオ五輪出場は叶わなかったが、2017年のユーロバスケットでは4位と、復調の兆しを見せている。昨年のワールドカップでは2次ラウンドで敗れ12位という結果に終わったものの、東京五輪の出場権をかけて、来年6月に行なわれる最終予選に参戦する。

 FIBAは2019年のワールドカップから予選システムを変更し、以前のような国際大会の順位で決めるものから、サッカーのように年間に国際試合期間を設けて、予選を行なう形式をとっている。NBAを筆頭に、シーズン中に選手を派遣することに難色を示す声も少なくないが、キリレンコはこの新方式に賛成だ。

「ファンにとっては、年に1度の大会の時だけでなく、3か月ごとに代表の試合が見られるというのは嬉しいことだ。それに選手にとっても、クラブをいったん離れて代表でプレーすることは、マインドをリセットする機会になる。自分が現役時代もそうだったが、代表は、若い頃から一緒に育ってきた選手たちと再会できる場でもある。とりわけ国外でプレーしている選手にとっては、時々このような機会を得て、家族や友人ら、自国のファンの前でプレーすることは、心身ともにとても良いリフレッシュになるんだ」
 
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