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国内バスケ

【連載インタビュー】渡嘉敷来夢/前編「自分が30点取ってもチームを勝たせられなかったら、それはエースではないと思っています」

小永吉陽子

2020.05.13

高校時代の思い出の試合は、2年のウインターカップ決勝。渡嘉敷は大一番で37得点をあげてチームを優勝に導いた。写真:田中研治

高校時代の思い出の試合は、2年のウインターカップ決勝。渡嘉敷は大一番で37得点をあげてチームを優勝に導いた。写真:田中研治

――高校時代の思い出の試合は何ですか? 

高校時代は左足首を疲労骨折して怪我が大変だったので、そういう意味では、高校2年のウインターカップ決勝ですね。その前の国体で負けていたので、「ウインターカップは絶対に優勝するんだ!」と燃えていたし、でも自分は万全ではなかったのでドキドキしながらやっていました。決勝にピークを合わせていたのでトーナメント序盤はあまり良くなかったんですけど、決勝(東京成徳大戦)で37点取って優勝することができました。


――優勝した瞬間、一気に脱力したのか、コートに座り込んでしまったことが印象に残っています。

試合が終わったらホッとして、そうしたら一気に痛くなって立っていられなくなって、バタンと倒れた感じです。自分以上に周りの人が自分のことを信じてくれたことが力になって、あの大舞台であのパフォーマンスができたんだと思います。チームを勝たせることがいちばんの恩返しだと思ったので、その気持ちでやりました。井上先生も「お前を信じるから」と言ってくれて、その感謝の気持ちを出すしかないと思ってやりました。

それに、自分が頑張れたのは仲間が声をかけてくれたからなんです。今でも忘れないのが、自分がリバウンド取ってアウトレットパスを出したときに、前を走っていた水島さん(沙紀、トヨタ自動車昨季で引退)が「リョウ、頑張れ!」って言ってくれたんですね(※リョウは高校時代の渡嘉敷のコートネーム)。そういう言葉で踏ん張れるし、頑張れますよね。あのシーンは今でも覚えています。
 
――高校卒業後はWリーグの名門、JX-ENEOSへ。Wリーグと高校では何が違いましたか?

高校に入ったときも2つ上に髙田さん(真希、デンソー)とかすごい人がいたけど、JX-ENEOSには大神(雄子)さん、田中(利佳)さん、諏訪(裕美)さん、吉田(亜沙美)さんたちがいて、ディフェンスの強さや経験値が違い、毎日のように日本代表の練習をしているくらいレベルが高くて、それはそれは刺激的でしたね。新人のときはいつも「自分が攻めていいのかな?」と迷いながらプレーしていました。

とくに苦労したのが吉田さんのパスを取ること。吉田さんのパスは高校生と違って強くて速くて、味方も騙されてしまうほど。私があまりにもパスを取れないので、先輩たちがずらっと並んで、いろんな角度からいろんなパスをしてくれて、それを取る練習をしたくらいです。あとはフィジカルの差ですかね。体を鍛えるトレーニングがすごくきつかった。それが高校といちばん変わったところです。
 
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