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NBA

【NBAデュオ列伝】対照的な2人の邂逅は「神の御業」。“黒いレッテル”に負けずプロの教授を示し続けたストックトンとマローン|後編

出野哲也

2020.06.10

 翌1998年もジャズは頂上決戦の舞台に戻ってきたが、前年と同じく2勝をあげるにとどまり敗戦。ストックトンにとっては、これが最後のNBAファイナルになった。

 以降のジャズは、徐々に競争力を失いプレーオフに進むのが精一杯になる。そして、ストックトンとマローンにも衰えが忍び寄っていった。

 ストックトンの足からはスピードが失せ、若く敏捷な選手とのマッチアップに苦戦。マローンもゴール下での支配力に陰りが見え始め、中距離からのジャンパーを狙う回数が増えた。

 だが、彼らが平凡な選手に成り下がったわけではない。2002-03シーズン、マローンは17年連続で平均20点超えを達成すると、41歳のストックトンも全試合に出場し、リーグ5位の平均7.7アシストをマークする。これは48分平均に換算すると、13.3本で堂々のリーグ1位。トップクラスのスキルを維持し、余力を残した状態で、ストックトンは19年に及ぶ現役生活に別れを告げた。
 
 時を同じくして、マローンもジャズを離れることを決意する。ストックトンとの離別、娘のシェリル・フォードのWNBAデビュー、そして最愛の母の死……etc。激動のオフシーズンを過ごしたマローンは、新たな働き場所をロサンゼルスに求めた。レイカーズの一員として、ユタで果たせなかったチャンピオンリングを獲得するためだった。

 しかしその夢は叶うことなく、LAには1年いただけで引退。あと1459点と迫っていたカリーム・アブドゥル・ジャバー(元レイカーズほか)の通算得点記録にも届かなかった。

 2人は何から何まで対照的だった。ストックトンは小柄な白人、寡黙でプライバシーを重んじ、クロスワードパズルに没頭する。一方、マローンは大柄な黒人、饒舌でスポットライトを好み、大型バイクを乗り回す。共通点はバスケットボールに対する情熱と真摯な姿勢、努力と向上心を忘れなかったことぐらいだろう。

 そんな2人が、どうしてこれほどまでに深い縁で結ばれたのだろうか? その答えは、彼らの入団当時のヘッドコーチだったフランク・レイデンの言葉に集約される。

「彼らを引き合わせたのは……神の御業としか言いようがない」

文●出野哲也

※『ダンクシュート』2003年12月号掲載原稿に加筆・修正。

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