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NBA

【プレーオフ激闘録】1994年ファイナルはニックスが先に王手。しかし最終戦で頼みのスタークスが…|後編

ダンクシュート編集部

2020.08.21

もしニックスが優勝していれば、平均16.4点、6.0アシスト、2.43スティールと大活躍のハーパーがMVPだっただろう。(C)Getty Images

もしニックスが優勝していれば、平均16.4点、6.0アシスト、2.43スティールと大活躍のハーパーがMVPだっただろう。(C)Getty Images

 そしてついに迎えた天下分け目の一戦。なんとあろうことか、スタークスが1シーズンに一度あるかないかの絶不調に陥る。FG2/18(11.1%)、3ポイント0/11の8得点。打てども打てども入らないシュートを、スタークスは顔を歪め、今にも泣き出しそうな表情で打ち続けた。試合最終盤に3本の3ポイントを外したが、それでもライリーHCは交代させず、スタークスと心中する道を選んだ。ラストショットはエアボール――。栄冠はロケッツの頭上に輝いた。

 翌日のニューヨークの新聞には、〝ファイナル史上最悪のチョーク・パフォーマンス(チョーク=大事な場面で緊張してやらかすこと)〞との見出しが躍った。それでも、スタークスを我が子のように愛していたニックスファンは、批難したり叩くような真似はしなかった。スタークスがニックスのためにどれだけの汗と涙を流し、魂を焦がしてきたかを知っているからだ。
 
 とはいえ、1990年代をダイハード・ニックスファンとして過ごした者の身体のどこかには、今でも小さな棘が刺さっている。あれから四半世紀、ことあるごとに棘は疼き、ニックスが悲願の優勝を遂げるまで、その棘が抜けることはない。

文●大井成義

※『ダンクシュート』2020年6月号掲載原稿に加筆・修正。

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