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NBA

コビーに名指しで「一緒にプレーしたかった」と評された男、ディミトリス・ディアマンティディスのバスケキャリア

小川由紀子

2020.08.24

 2007年にロシア代表を欧州王者に導いた名将デイビッド・ブラットは、かつて「彼がゲームに与えるインパクトを考えると、これまでの欧州バスケ史上最高の選手だと言っても過言ではない。彼の影響力は、試合のなかであらゆるエリアに効果を及ぼし、常にチームを正しい方向に導く。どんなに競った場面でも冷静さを失わないから、落ち着いて正しい判断を導き出せるのさ」と絶賛。

 さらに、ディアマンティディスと8年間にわたってパナシナイコスで親密な師弟関係を築き、その間に国内リーグ7冠、ギリシャカップ6冠、ユーロリーグ3冠など、数多のタイトルをともに勝ち取ったジェリコ・オブラドビッチも、「選手としても、そして人としても、指導者にとってかけがえのない存在だ。周囲の者全員を『全力で戦おう』という意志に向かわせてくれる」と評し、「自分の息子が大きくなったときには、ディミトリスのような人になってほしい」と最高級の賛辞を贈っている。
 
 インタビューでは毎回のように「NBAには行かないのか」と聞かれていたが、「自分の能力はわかっている。NBAでプレーできるほどのスピードもアスレティック能力もない。僕にとっては天井のような場所だ」と答えていた。14歳でバスケットボールを始め、19歳の時にテッサロニキのクラブでデビュー。そこで5年間プレーしたのち強豪パナシナイコスに移籍し、以来引退するまで“緑軍団”にキャリアを捧げた。

「このチームは僕にとって奇跡だ。僕は自分のキャリアがこんな風になるなんて想像していなかった。この瞬間を生きてこられて、本当に恵まれているよ」

 どこまでも謙虚な男は、引退した現在、パナシナイコスのゼネラルマネージャーを務めている。

 チームがふがいない試合をすると、いまだにアリーナに訪れたファンから「ディアマンティディス~!」と彼を求める声が上がる。パナシナイコスのファンでなくとも、いつでも飄々として表情を崩さず、しかし要所で必ず相手のチャンスを潰す、そんなディアマンティディスの姿がコートから消えたことを寂しく思う者は多い。

 世界最高峰のリーグに参戦することはなかったが、バスケットボールファンなら記憶に留めておくべき真の名選手、それがディアマンティディスなのだ。

文●小川由紀子

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