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NBA

データが示すNBAとユーロリーグの“逆転現象”。欧州にアメリカ人選手が増加した一方で、NBAは国際色豊かに

小川由紀子

2020.10.19

 興味深いデータは、アメリカ人のプレータイムの多さと勝率に関連性がないこと。スコアに占めるアメリカ人選手の得点の割合は、この20年で76%もアップしているというデータがある一方で、勝率では、アメリカ人選手のプレータイムが1割以下と最も低かったチームほど勝率が高く、6~7割のプレータイムをアメリカ人選手が占めていたチームの方が勝率は低い。

 つまり、アメリカ人選手がコートに立っている時間が長いほど勝てているわけではなく、彼らは必ずしも“必勝請負人ではない”ということだ。

 ユーロリーグでアメリカ人選手が劇的に増えている要因としては、人気、実績ともに確立されて、魅力的なコンペティションになっていること、そのためスカウトたちの目にも止まりやすく、活躍すれば次のキャリアにつながること。またギリシャのパナシナイコスやオリンピアコス、ロシアのCSKAモスクワなど一部のクラブでは、待遇面でも非常に優遇されるという、選手側から見た“旨み”が増している点が挙げられる。

 今でも思い出されるのが2008年のオフ。三遠ネオフェニックスでもプレーしたジョシュ・チルドレスが、アトランタ・ホークスを去ってギリシャのオリンピアコスに入団すると発表された時には、ヨーロッパのバスケットボール界は大騒ぎになった。チルドレスは2シーズンプレーしたあとアメリカに戻ったが、彼はキャリア真っ只中のNBA選手がユーロリーグでプレーした、先駆者的存在だった。
 
 そしてもうひとつ重要な点は“ロースターの選手の国籍に規定を設けない”という、ユーロリーグの柔軟なレギュレーションだ。

 各国とも、国内リーグには外国人選手の登録人数や生え抜き選手の数に決まりがあるため、チームによっては、国内リーグとユーロリーグでロースターを分け、アメリカ人選手をユーロリーグ要員として特別契約で雇っている場合もある。

 バスケットボール・チャンピオンズリーグでも同様で、本戦出場をかけた予選に参戦することが決まったイングランドのロンドン・ライオンズは、かつてシャーロット・ボブキャッツ(現ホーネッツ)などに在籍し、Bリーグでもおなじみのバイロン・モレンズと、ディアンドレ・リギンス(元マーベリックスほか)をBCL要員として補強した(残念ながら予選突破を逃したが……)。
 

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