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NBA

コンビ解消後にMVPに輝いたノビツキーとナッシュ。2人の夢は叶わなかったが、固い友情は今も変わらず【NBAデュオ列伝|後編】

出野哲也

2020.11.05

 そのノビツキーを抑えてMVPに選ばれたのは、「今年はダークが受賞できるといいね」と語っていたナッシュだった。自己最多の平均18.8点、10.5アシストとFT成功率92.1%はいずれもリーグトップ。チーム得点王のアマレが故障でシーズンのほとんどを欠場したにもかかわらず、サンズが2年連続でディビジョン優勝を果たしたことを考えれば、ナッシュの連続受賞は納得だった。

 07年はノビツキーがMVPを受賞する番だった。平均24.6点、8.9リバウンドは前年を下回るも、マーベリックスがリーグ最多の67勝したことを評価されてのものだった。ところがプレーオフでは、第8シードのゴールデンステイト・ウォリアーズに屈辱のアップセットを食らった。06年のファイナルで2連勝後、マイアミ・ヒートに4連敗した時と同じように、チームの看板であるノビツキーは痛烈な批判に晒された。

 それでも11年のファイナルでは、不利が予想されていたがヒートを4勝2敗で下し初優勝。MVPに選ばれたのはもちろんノビツキーだった。盟友が勝ち取った栄誉を、第2戦では観客席から声援を送っていたナッシュも心から祝福した。

 残念ながらナッシュ自身は優勝には縁がないままだった。12年、同期生コビー・ブライアントのいるロサンゼルス・レイカーズへ移籍したのが最後のチャンスだったが、すでに力が落ちてしまっていた。13-14シーズンを最後に引退、来季からはブルックリン・ネッツのHCに就任する。
 
 ノビツキーは40歳までプレーして引退。マーベリックスには21年在籍、生涯1球団でプレーした選手としては最長の年数だった。通算3万1560得点も史上6位。間違いなく古今最高のヨーロッパ人選手である。18年に殿堂入りしたナッシュに続き、同じ栄誉に浴する日はもうすぐだ。

 彼らが入団した頃のマーベリックス・ファンに「いつかナッシュとノビツキーが、2人ともMVPになる日が来る」と言ったなら、頭がおかしいと思われたに違いない。だが彼らは自分たちの可能性を信じ、決して諦めることなくたゆまぬ努力を積み重ね、現在の地位を築き上げた。2人で一緒にチャンピオンになるという夢こそ叶わなかったけれども、彼らの固い友情は今も変わらない。

文●出野哲也

※『ダンクシュート』2006年7月号掲載原稿に加筆・修正。

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