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NBA

バスケと料理の“二刀流”。ミシュラン三つ星を獲得した、アレクサンドル・マズィアの異色のキャリア〈DUNKSHOOT〉

小川由紀子

2021.03.01

(C)Matthieu Cellard

(C)Matthieu Cellard

 オープンから4か月という異例のスピードでミシュラン一つ星を獲得した『AM』は、2019年に2つ星、そして今年は3つ星となり、ついに料理界の頂点に立った。レストランを格付けすることに異論を唱える者や、自ら辞退するシェフもいるが、料理人の多くにとってミシュランの星は、腕を磨く上でのひとつの大きな目標だ。

 フランスは現在、コロナ禍によりレストランやバーはすべて休業しているが、マズィア氏は祖父ミシェルの名前をつけたフードトラックで、お手頃なテイクアウトミールを販売している。

 その傍ら、今でも時間があれば地元のコートでシュートを打ち、子どもチームの指導を手伝うこともあるという。日々の厨房での戦いを“今日の試合”だと捉えている彼にとって、バスケ人生はキャリアの原点だ。

 スポーツと料理には、多くの共通点があるとマズィア氏は語る。

「チームで取り組むということ、反復練習の積み重ねが大事だということ。常に高い要求と向き合い、求められた時に決定的な仕事をするという責任感とプレッシャーのなかで結果を出すこと、そして、お客様の前で最高のパフォーマンスを発揮すること」

「そして情熱。バスケットボールを通じて学んだこれらのことが、今のシェフとしての自分に生かされているんだ」
 
 彼は今日も『エア・ジョーダン』を履いて厨房に立つ。現役時代195cmあった身長は、今では180cm台まで縮んだというが、それでも歴代のスターシェフのなかでは、一番の高身長ではないかというくらい堂々とした体格だ。

 ミシュランの受賞式には、彼がかつて修行した、日本でもおなじみのパティシエのピエール・エルメ氏も祝福に駆けつけ、「彼のレストランでの食事は、一生の記憶に残るような素晴らしい体験だった」とはなむけの言葉を贈った。

 嬉しさで思わず涙が込み上げたマズィア氏は、家族やこれまでお世話になった人々、ミシュランの関係者などにお礼を述べたあと「今日、『私は料理人です』と名乗れることを誇りに思います」とスピーチした。

 マズィア氏は、取り組んだものはとことん突き詰めるタイプだという。だからバスケを始めた時も徹底的に練習し、1日2000本のシュートを打つ日もあった。それと同じ勤勉さと努力、情熱を、今は料理に注いでいる。それが彼に、まったく別の世界で頂点を極める道を拓いたのだ。

文●小川由紀子

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