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NBA

ニックスを破滅へと導く“狂人”ジェームズ・ドーラン。無能オーナーが起こした数々のトラブル伝説【NBA秘話|前編】<DUNKSHOOT>

大井成義

2021.05.18


『First Take』でスパイクは、一連の出来事は「ドーランによるハラスメントである」と断言した。球団のトップが、最も忠誠心の高いファンであり、最重要とも言える顧客を足蹴にしたのだ。憤怒したスパイクは、「もう今シーズンはニックスの試合を観にガーデンに行かない」と宣言。あのスパイクが、である。幸か不幸か、新型コロナウイルスの感染拡大により2020年3月11日を最後にレギュラーシーズンが中断となり、観戦ボイコットは自然消滅している。

 どうしてこんなことになってしまったのだろうか。その元凶は、偏執狂の独裁者、リーグきっての無能オーナー、ドーランにある。すべては彼の指示だったのだろう。メディア上でニックスの惨状を憂いているスパイクの存在を、ドーランは不快に思っていたに違いない。エレベーターの前で、激昂したスパイクの口から名前が飛び出したオークリーもその1人であり、近年ドーランと一悶着起こし、世間を賑わせている。
 
 1990年代ニックスのハート&ソウルであり、ジョン・スタークスやパトリック・ユーイングと並びファンフェイバリットだったオークリーは、57歳になった今でもニューヨークでは特別な存在だ。多少ガラが悪く、行き過ぎた言動が目についたりするものの、昨今のニックス・フロント陣に苦言を呈している、ファン目線を持った数少ないOBの1人。

 2017年2月8日、ガーデンで行なわれたニックス対ロサンゼルス・クリッパーズ戦に友人と観戦に訪れたオークリーの席は、コートエンドの最前列に座るドーランからほんの数メートルの距離だった。チケットは自分たちで入手していた。第1クォーターの途中、オークリーが席に着いて4分半後、彼に問題行動が認められるとして、セキュリティが本人にガーデンからの退去を勧告。ドーランの指示による動きであることは、火を見るよりも明らかだった。

 オークリーは何もやっていないし、ヤジも飛ばしていないと主張、セキュリティと押し問答に。その際、怒り心頭に発したオークリーは、セキュリティの胸を数回小突いてしまう。最終的に10人近くのセキュリティとニューヨーク市警に両腕と身体を抱えて連行され、もつれて通路に倒れ込んだところを後ろ手に手錠をかけられ、暴行罪で逮捕。この時、ガーデンには「オークリー!オークリー!」のチャントが響き渡っていた。オークリーは近隣警察署の留置所ヘ移送され、深夜に釈放されている。
 
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