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NBA

“史上最強のNo2”ピッペンや“提督”ロビンソンを筆頭に、好選手を多く輩出した隠れた当たり年【NBAドラフト史1987年】

大井成義

2020.01.14

得点力とパスセンスを兼備した攻撃型PGのジョンソンは、89年から4年連続で平均2桁アシストを記録。93年にはサンズをファイナルに導いている。(C)Getty Images

得点力とパスセンスを兼備した攻撃型PGのジョンソンは、89年から4年連続で平均2桁アシストを記録。93年にはサンズをファイナルに導いている。(C)Getty Images

 とはいえ、未知数な部分が多々あったこともあり、ドラフト5位での指名は予想を大きく覆すものだった。中継番組の冒頭で、ピッペンの指名順位は10位と予想されている。

 驚きはそれだけでとどまらなかった。1巡目の後半に、5位ピッペンと、ブルズが8位で指名したバージニア大3年のオルデン・ポリニスに将来の指名権を付けた形でのトレードが発表される。意図の見えないトレードに、会場は再びどよめいた。この移籍劇の内幕を、シカゴの地方紙『デイリー・ヘラルド』が2000年に記事にしているのだが、ピッペン獲得を目論んでいたのはブルズだけではなく、ほかに複数のチームも動いていたのだという。

 スカウティング能力に長けたブルズのジェリー・クラウスGMは、ピッペンの潜在能力を見極め、その将来性に確信を持っていた。ブルズが手にしていた最初の指名権は8位。その前にピッペンが指名されることはないと踏んでいたが、ある情報筋から6位のキングスと7位キャブズもピッペンに興味を持っていることを知らされる。
 
 クラウスはすぐさまキングスより上位の指名権を持つチームに連絡を取ると、ビッグマンを必要としていた5位のソニックスが話に乗ってきた。1週間に渡る話し合いを経て、合意に達したのはドラフト当日の早朝4時。条件は、もしソニックスの望む選手が5位まで残っていたら、このトレード話はなかったものとし、もし残っていなかったら、ソニックスはピッペンを指名する。そして8位のブルズが、残っている中でベストのビッグマンを指名し、将来の指名権とともにトレードを敢行する、というものだった。

 ドラフト前夜、ソニックスに対しキャブズがさらなる好条件を提示してきたが、すでにブルズとの間で話がほぼまとまっていたため、すべては後の祭りだった。ブルズはタッチの差でダイヤの原石を手に入れ、キャブズは涙をのむことになった。

 逸材を数多く輩出した1980年代において、1987年度のドラフトクラスはいくぶん見劣りするとされていたが、振り返ってみるとそれ相応に充実していたと言ってもいいだろう。五指に入る当たり年、とまではいかないものの、それに準ずる位置につけている。バラエティの豊富さという観点から見れば、トップクラスの当たり年であり、特徴的で印象深い選手が数多く誕生している。
 

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