そしてもうひとつ、彼が楽しんでいることは、キングスの復興に向けて、黄金時代のメンバーが集結していることだ。ＧＭのディバッツを筆頭に、控えポイントガードだったボビー・ジャクソンは選手育成部門のコーチ、シューティングガードのダグ・クリスティーは『NBCスポーツ』でキングスのコメンテーターを務めている。

「みんなで過去を振り返ると、当時やり残したことを思い出すんだ。と同時に、いかに僕らの間に深い絆があって、特別な仲間だったかにも改めて気づく。僕らはともに多くのものを学んだ。あの時のような雰囲気をまた作り出したい」
  　目指すは2006年から14年もの間遠ざかっているプレーオフ出場、そして、1951年以来のチャンピオンシップ獲得だ。もちろん、その行程が楽なものではないことは十分理解している。

「スポーツは、白か黒か、というように単純なものではない。優秀な選手を揃えて、『さぁこれが最高のチームだ』と思っても、うまくいかないこともある。だからこそ、選手を発掘し、その彼らがチームとして機能していくプロセスに醍醐味がある。私は過程を無視して結果を得る、ということには懐疑的なんだ。古典的なようだけれど、すべてのことには段階が必要だと信じている。慎重に計画を立て、常に先を考える。そして、良い人、良い選手たちを集める。かつての仲間と一緒に、この仕事に取り組んでいけることが嬉しくてたまらないよ」

　低迷が続く古豪再建という大仕事に挑む稀代の名シューターの、今後の活躍に期待したい。

文●小川由紀子

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