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NBA

薬物によりドラフトの2日後に死去…。80年代アメリカの暗部を反映した“波乱万丈”の年【NBAドラフト史:1986年】

大井成義

2020.06.02

1986年の出世頭は、2巡目27位指名ながら優勝5回、リバウンド王7回のロッドマンだ。(C)Getty Images

1986年の出世頭は、2巡目27位指名ながら優勝5回、リバウンド王7回のロッドマンだ。(C)Getty Images

 6位でサンズに入団したウィリアム・ベッドフォードも、薬物の誘惑を断ち切ることができなかった。NBAに在籍した7年のうち、1年間を薬物のリハビリに費やし、所属チームから解雇された後も薬物所持で2度逮捕。2001年には11kgの大麻を運んだかどで逮捕され、10年間の懲役刑を食らった。

 さらには、7位でマブズから指名を受けたロイ・タープリーも、薬物とアルコールで人生を棒に振っている。オールルーキー1stチームに選ばれ、2年目には平均13.5点、11.8リバウンドを記録しシックスマン賞を獲得。順風満帆なキャリアを送るかに思われたが、飲酒運転による度重なる逮捕とコカインの使用により、3年間の出場停止処分に。1994年、なんとか復帰を果たすも再び問題を起こし、翌年永久追放された。2015年1月、タープリーは50歳の若さで死亡している。死因は明らかにされていない。

 1986年組には、チャック・パーソンやロン・ハーパー、デル・カリー(ステフィン・カリーの父親)、マーク・プライス、ジェフ・ホーナセックなど、優れたシューターやバイプレーヤーが顔を揃えているものの、やはり波乱万丈型選手の印象が強い。最後に、NABA史に確固たる爪痕を残すも、殊のほか数奇なキャリア、そして人生を送った選手を何人か紹介しよう。
 
●1巡目24位 アルビダス・サボニス/リトアニア・ソビエト社会主義共和国出身で、ヨーロッパ史上最高のセンターと謳われた。米ソ冷戦に翻弄され、この年のNBA入りは叶わず。1995年に念願のNBAデビューを果たしたが、その時は故障持ちの30歳。1986年に21歳でNBA入りし、20代の全盛期をNBAでプレーしていたら、オラジュワンやロビンソン、ユーイングらと肩を並べていたか、もしくは凌駕し、歴代トップクラスのセンターになっていたと考える識者もいる。

●2巡目27位 デニス・ロッドマン/史上最長となる7年連続リバウンド王に輝き、歴代屈指のリバウンダーとして名を馳せたが、奇行や愚行を繰り返し、現役最後の2シーズンをわずか数週間で解雇された異端児。引退後もトラブルが絶えず、北朝鮮の金正恩総書記と親密にするなど、異様な行動でメディアを騒がせている。ピストンズ時代の1993年には、アリーナの駐車場に車を停め、銃で自殺しかけたことも。

●3巡目60位 ドラゼン・ペトロビッチ/1989年からNBAでプレーし、その激しいプレースタイルと勝負強さに、ジョーダンも一目置いたクロアチアの英雄。1993年6月、雨のアウトバーンでスリップして停まっていたトレーラーに、時速180kmで激突し即死。ペトロビッチは腕の良いドライバーだったが、ハンドルを握っていたのは同乗していたガールフレンドだった。わずか4シーズンという短い期間ながら、NBAを疾風のように駈け抜け、後のヨーロッパ出身選手に多大なる影響を与えた。享年28。

文●大井成義

※『ダンクシュート』2016年4月号掲載原稿に加筆・修正。

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