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NBA

【NBAデュオ列伝】ロビンソンに課せられた孤軍奮闘と勝てない日々。そして訪れた“最高の相棒”ダンカンとの出会い|前編

出野哲也

2020.09.06

 ロッドマンに対する苦い思いが記憶に新しかっただけに、選手としても、人間としても全幅の信頼を置けるチームメイトを得られたことが、ロビンソンにとっては何よりも嬉しかったのだ。2人はコートの外でも親しく付き合った。食事はもちろん、2人してダンカンの趣味であるビデオゲームにも興じた。身長2メートルをはるかに超す大男2人が、ゲームに興じて大騒ぎしている光景はあまり想像したくないが……。

 ダンカンは前評判通りの活躍を披露し、平均21.1点、11.9リバウンドの好成績で当然のごとく新人王を受賞した。ロビンソンも故障から復活し、ダンカンと無敵のツインタワーを形成。スパーズは前年から36も勝ち星を増やしたが、これはロビンソンが入団した1989-90シーズンのプラス35勝を1勝上回る新記録となった。

 1998-99シーズンはロックアウトのため開幕が大幅に遅れ、さらにマイケル・ジョーダン(元ブルズほか)の引退により、NBAの勢力地図が大きく塗り替えられることに。そして、スパーズにも大きな変化が訪れた。ロビンソンに代わって、ダンカンがチームの中心になったのである。
 
 ダンカンは、当時の流れを振り返ってこう語っている。

「自然な流れだった。入団した頃はデイビッドがチームの中心で、僕は彼の元で成長した。そして僕が彼にとって代わる用意ができたとき、彼は何も言わずに身を引いたんだ」

 とはいえ、ずっとスパーズの顔であったロビンソンにとっては、簡単な決断ではなかった。

「オフェンスの中心がティムに移るのは、必ずしも愉快ではなかった」

 ロビンソンは正直にそう語る。

「けれども、そのことで揉めはしなかったよ。それが正しいことであるのが、私にはわかっていたからね」

 難しい状況をロビンソンは紳士らしく受け止め、チームに波風が立つことはなかった。スパーズは怒涛の快進撃を見せ、初のカンファレンス優勝を果たす。ファイナルでもニューヨーク・ニックスを圧倒し、1976年にABAからNBAに加盟して以来、初のリーグ制覇を成し遂げた。

 平均27.4点でファイナルMVPに輝いたダンカンは「これまでずっと勝利を目指して戦ってきたデイビッドのために、勝てたことが嬉しい」と語り、ロビンソンも「長い道のりだったが、困難だったからこそ価値がある」と感慨に浸った。(後編に続く)

文●出野哲也

※『ダンクシュート』2005年2月号掲載原稿に加筆・修正。

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