専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
NBA

<2020ベストヒット!>なぜコビーはヘリコプターに乗っていたのか…墜落事故の同乗者や、現地での様子は

大井成義

2020.12.09

 午前9:33、SVFRで管制官の指示に従いながら飛行を開始。飛行中、パイロットは飛行の手助けをしてもらうべく、管制官と直接音声で細かい情報のやりとりをする“フライト・フォローイング”による誘導を要請するが、そうするにはあまりにも低空を飛行していると告げられる。パイロットは雲の層を避けるため上昇していると連絡。それを最後に交信は途絶えた。

 午前9:42、極端な高度の低さに管制官が意図を尋ねるも、応答なし。

 午前9:44、ヘリコプターは左に進路を取りながら急降下を始める。

 
 最後にレーダーが捉えたのは午前9:45(日本時間午前2:45)。カラバサスの標高1085フィート(331m)の斜面に、9人を乗せたヘリコプターは突っ込んだ。飛行中の民間航空機の現在位置をリアルタイム表示するウェブサイト『FlightRadar24』のデータでは、衝突時のスピードは時速283kmに達していた。 

 コックピットの音声やデータを記録するブラックボックスの設置は義務化されておらず、同機は設置していなかった。ゾバヤンはフライトプランや天気情報の管理にiPadを使用していた。

 午前9:47、消防に911(緊急通報用電話番号)の第一報が現地より入る。『ロサンゼルス・タイムズ』にディーツが与えた情報では、ヘリコプターは約800パウンド(363kg=約300リッター)の燃料を積んでおり、約1000平方メートル(テニスコート4面分)の範囲にわたり低木が焼けていた。
 
 国家運輸安全委員会のジェニファー・ホームンディーの説明によると、衝突の際のインパクトは2000FPM(フィート・パー・ミニッツ、毎分610m)以上あり、「高いエネルギーの衝撃を伴った墜落であり、ヘリコプターは左に傾きながら降下していった」としている。

 事故現場は“非常に悲惨な光景”であり、機体の破片は約500~600フィート(152~183m)に渡って飛び散っていた。衝突部からだいぶ離れた斜面の左下部に尾翼があり、胴体は反対側の中腹に、メインローターはそこから数百ヤード(数百メーター)離れた場所にあったという。

 国家運輸安全委員会が1月28日午後(日本時間29日午前)に発表した最新の調査報告で、新たな事実が発表された。ホームンディーの説明によると、16年前に彼女の部署が連邦航空局に対し、乗員6人以上の全ヘリコプターへの“地形認識および警告システム”設置義務化を提言したが、その後連邦航空局は作業を進めていなかったという。現在、法的に義務化はされておらず、今回の事故機もそのシステムを搭載していなかった。

 また、『ロサンゼルス・タイムズ』が掲載した飛行ルート図を見ると、今回事故機が取ったルートは、それまで同機がコビーを乗せて何度も飛んでいた最短ルートから大きくずれていることがわかる。

 1月28日、9人の遺体がすべて収容される。1月29日、DNA検査と指紋照合の結果、9人の身元が判明した。

【PHOTO】「Mr.レイカーズ」&「Mr.NBA」史上最高のスーパースター、コビー・ブライアント特集!

文●大井成義
 

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号