「フェラーリを運転するのはタフだ。とてもデリケートなパーツでできたマシンだからね。今回の車は、私はもっとラフに乗りこなしていた（笑）。要求も厳しかった。それがこの車に適した操縦法だと思ったからだ。

　でも、選手たちがそのやり方に抵抗を感じていないとわかってからは、どんどんアクセルを踏み込んでいった。以前のチームではやっていなかったようなこともやったよ。大事なのは、手元にあるチームのキャラクターや、強み・弱みをしっかり理解することなんだ」

「自分たちがなぜ称賛されるチームであるのか、自分たちのアイデンティティを示すことが挑戦だった」と指揮官は結んだが、決勝戦という最もテンションが高まる場で、大会最高のパフォーマンスを発揮できたところに、このチームの底力を感じずにはいられない。
  　ガソル兄弟の引退後、後継者を求めていたスペインに、奇しくもまた“兄弟”が台頭してきた。これまでの代表戦では目立った活躍はなかったエルナンゴメス兄弟が、この大会でチームの主柱として大きく成長したことは、スペイン代表にとって金メダルと同じくらい貴重な財産だ。

　2019年のワールドカップで優勝したスペインは、欧州王者の座もスロベニアから奪回し、文字通り世界の頂点に立った。伸び代しかないこの若いチームが、来年のワールドカップでどんなパフォーマンスを見せてくれるのか。今から楽しみだ。

文●小川由紀子

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