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NBA

“史上有数の外れドラ1”ブラウンを筆頭に、多くの高卒選手が上位指名された2001年【NBAドラフト史】

大井成義

2019.12.25

名門デューク大出身のバティエは6位でグリズリーズに入団。スーパースターにはなれなかったが、脇役としてヒート時代に2度の優勝に貢献。(C)Getty Images

名門デューク大出身のバティエは6位でグリズリーズに入団。スーパースターにはなれなかったが、脇役としてヒート時代に2度の優勝に貢献。(C)Getty Images

“神様ジョーダンから史上初の高校生ドラ1として直々に指名され、さらには世界一負けず嫌いなジョーダン先輩から直接指導”という究極のプレッシャー状態ではなく、他のチームから1巡目後半あたりで指名され、伸び伸びとプレーしていたらどうなっていただろうか。

 もしくは当初の予定通り、優秀なセンターを数多く輩出しているフロリダ大に進学し、基礎をみっちり身につけてからNBA入りしていたら、ブラウンのキャリアはまったく違ったものになっていたような気がする。
 
 2001年以降、プレップ・トゥ・プロ選手の数が増え続けるという事態に、リーグやNCAAは危機感を抱いた。そのムーブメントを良しとせず、新たな労使協定が結ばれ、ドラフトの時点で19歳に達しているか、高校卒業もしくは中退から1年以上経たなければエントリーできないという新ルールが2006年から施行される。

 あえて王道を選ばず、高校からNBAに挑戦するというルートは、特殊なケースを除いて閉ざされてしまった。1947年の第1回ドラフトから、ルール改正がなされる前の2005年まで、計59回を数えるドラフトで指名された高校生の数は全部で42人。

 そのなかから、ドーキンス、ガーネット、コビー、トレイシー・マッグレディ、レブロンなど、NBAの歴史を語る上で欠かせないスター選手が何人も誕生している。そういった若きチャレンジャーの姿を見ることのない現状は、それはそれで寂しい気もしていたのだが、今年9月にリーグは数年後のプレップ・トゥ・プロ解禁を示唆した。選手会の要望にアダム・シルバー・コミッショナーが応える形で、すでにシルバーから提案書が提出されているという。予定開始年は2022年。

 もし実現すれば、2022年のドラフトは高校生と大学生の有望選手が同時に名乗りを上げるため、”スーパ―・ドラフト”と呼ばれ今から注目されているとのこと。2022年はもちろん、それ以降のドラフトにも楽しみが増えることになるわけだが、再び解禁したらもう後戻りすることは難しくなるだろう。

 近い将来、2001年以降の数年間のようにプレップ・トゥ・プロの人数が急増し、カレッジからNBA入りする選手の数と逆転する日が来ないとも限らない。その結果、10代の未成熟な若者の数が増え、それに伴い様々なトラブルも増加するに違いない。そのことについて、もちろんリーグは熟考しているとは思うが……。


文●大井成義


※『ダンクシュート』2016年2月号掲載原稿に加筆・修正。
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