ウエストは確かにシーゲルのお気に入り選手ではあったが、そのことがロゴのモデルに選んだ理由では決してなかった。ロゴの素材として、構図が完璧だったのだ。シーゲルはかつてインタビューで、次のよう述べている。
「このような静的なもの(ロゴ)を、生き生きと鮮明に描写することは難しい。緊張感のほかに、躍動感や優美さも持ち合わせていなくてはならない。それらを同時に表現することは、とてもハードな作業だ。シンプルでありながら、パワフルかつダイナミックでなければならない。このロゴには、それらの要素がすべて詰まっている」
元ネタとなったのは、『Basketball』という雑誌の表紙を飾った1枚。1967-68シーズンのプレビュー号で、青いジャージーを着たウエストが、シンシナティ・ロイヤルズ(現サクラメント・キングス)のロバートソンをドリブルで抜き去ろうとしている瞬間を切り取った1枚だ。画像処理ソフトを用い、ロゴと写真のウエストのサイズを合わせ、ロゴを半透明にして角度を左に5度ほど傾けると、ふたつのイメージは9割方合致する。
写真を撮影したのは、レイカーズとNHLロサンゼルス・キングスのオフィシャル・フォトグラファーを40年に渡って務めた、故ウェン・ロバーツ。シーゲルはロバーツが撮ったウエストの写真を元に、あるインタビューでは8~10種類、ほかでは40~50種類ほどのバリエーションのロゴを作ったと説明している。
完成したロゴを見たケネディは、即断で採用の決定を下す。それから半世紀の間、“NBA”の書体以外は一切手を加えられることなく、現在も使われ続けている。(後編に続く)
文●大井成義
※『ダンクシュート』2021年10月号掲載原稿に加筆・修正。
【PHOTO】オラジュワン、ジョーダン、バークレー、ペニー……NBAの歴史を彩った偉大なレジェンド特集!
「このような静的なもの(ロゴ)を、生き生きと鮮明に描写することは難しい。緊張感のほかに、躍動感や優美さも持ち合わせていなくてはならない。それらを同時に表現することは、とてもハードな作業だ。シンプルでありながら、パワフルかつダイナミックでなければならない。このロゴには、それらの要素がすべて詰まっている」
元ネタとなったのは、『Basketball』という雑誌の表紙を飾った1枚。1967-68シーズンのプレビュー号で、青いジャージーを着たウエストが、シンシナティ・ロイヤルズ(現サクラメント・キングス)のロバートソンをドリブルで抜き去ろうとしている瞬間を切り取った1枚だ。画像処理ソフトを用い、ロゴと写真のウエストのサイズを合わせ、ロゴを半透明にして角度を左に5度ほど傾けると、ふたつのイメージは9割方合致する。
写真を撮影したのは、レイカーズとNHLロサンゼルス・キングスのオフィシャル・フォトグラファーを40年に渡って務めた、故ウェン・ロバーツ。シーゲルはロバーツが撮ったウエストの写真を元に、あるインタビューでは8~10種類、ほかでは40~50種類ほどのバリエーションのロゴを作ったと説明している。
完成したロゴを見たケネディは、即断で採用の決定を下す。それから半世紀の間、“NBA”の書体以外は一切手を加えられることなく、現在も使われ続けている。(後編に続く)
文●大井成義
※『ダンクシュート』2021年10月号掲載原稿に加筆・修正。
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