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海外サッカー

「最強リバプール」を作り上げたクロップ監督の“源流”とは?磨き上げられた戦術センスの裏側に迫る

遠藤孝輔

2020.02.13

リバプール監督を務めるユルゲン・クロップの最も影響を受けたメンターは?知将ラングニックとの繋がりは?(C)Getty Images

リバプール監督を務めるユルゲン・クロップの最も影響を受けたメンターは?知将ラングニックとの繋がりは?(C)Getty Images

 ある仮説があった。リバプール躍進の影に、知将ラングニックの存在があるのではないか。ゲーゲンプレスを基調とした戦術志向が共通し、直接・間接的にその教えを受けた選手が実際に主軸を担っている。ラングニックはクロップにどんな影響を与えたのか――。2人の関係性を探りながら、クロップ流の源流を辿る。

■ラングニックの下で培った戦術センスが磨き上げられて

 サディオ・マネ、ナビ・ケイタ、そして南野拓実には共通項がある。いずれもレッドブル・ザルツブルクに所属していた経歴だ。そのオーストリア王者で、3人はユルゲン・クロップ監督率いる現リバプールに通ずる戦術を叩き込まれた。ゲーゲンプレスと縦志向の強い攻撃がキーワードのストーミング――この戦術用語の名付け親は、『ワールドサッカーダイジェスト』誌の連載でもお馴染みのジャーナリスト、サイモン・クーパー氏――だ。

 ザルツブルクおよびレッドブル傘下のクラブ(RBライプツィヒやNYレッドブルズなど)に、この戦術を共有させたドイツ人指導者のラルフ・ラングニック(現レッドブル社のスポーツおよび開発部門責任者)は、南野のリバプール加入が取り沙汰されていた昨年12月、『スカイ・スポーツ』のインタビューでこう答えている。
 
「我々とユルゲンのスタイルはよく似ている。(キーワードは)プロアクティブ(積極的な、前向きな)、ハイプレス、ゲーゲンプレスだ。ボールを奪ったら、横パスやバックパスで(相手ゴールに向かう)時間を無駄にしたくない。我々は可能なかぎり、素早く前進してチャンスを作り出し、多くのゴールを奪おうとする」

 だから、かつて自身がスカウティングした選手や教え子が、現在のリバプールに数多く在籍しているのは「偶然じゃない」と言う。マネやケイタ、南野は指揮官として直接指導したわけではないが、ジョエル・マティプとロベルト・フィルミーノに関しては、それぞれシャルケ、ホッフェンハイムの監督時代に手ほどきした。

 フィルミーノはブレンダン・ロジャース前監督時代にリバプールに加入したが、クロップのコンバートで偽CFの新境地を開拓し、ワールドクラスのアタッカーへと成長したのは周知のとおり。ラングニックの下で培った戦術センスが、フィロソフィーが似通う指揮官によって、ますます磨き上げられたのだ。ラングニックが「良いテクニックとメンタリティーを持ち、多くの日本人同様に、チームのためにボールを奪回する努力を惜しまない」と評する南野も、クロップの下でさらなる飛躍を遂げる可能性は十分にある。
 

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