プロサッカー界において、今やビデオ判定などのテクノロジーは不可欠なもの。賛否両論ありながらも、「VAR」による試合中断はゲームの一部として受け入れられている。
イタリアでは、トップリーグのセリエAと、ひとつ下のセリエBでVARが導入されているが、さらに下部カテゴリーに当たるセリエCで今シーズンから、独自のビデオ判定システムが運用される。それが「フットボール・ビデオ・サポート」。略して「FVS」だ。
「VARと呼ばないで。ライトVAR、オンコールVARなど、どんな言葉でも構わない。来たるセリエCの目玉となる新システムはFVSだ。ピッチの真ん中で選手が空に向かって人差し指を振っているのを見たら、それは観客や星空、あるいは天気を指しているのではなく、ピッチ上で何かが起こり、映像による確認が必要だと監督に知らせているのだ」
このように記した伊紙『Gazzetta dello Sport』は、「昨季まで、プレーオフを除けば何の映像支援もなかったカテゴリーにとって大きな前進。セリエCはもう“格下の存在”ではなくなる」と、FVSの導入を評価した。
新たに導入されるFVS システムは、VARと異なる部分が多い。同紙によると、セリエCで使用される各スタジアムのなかには、テレビカメラが2台しか設置されないところが少なくなく(通常は3~5台を設置)、VARのように複数方向からミリ単位でプレーをチェックするのは不可能だという。
そこでビデオルームに追加の審判を配置するのではなく、ピッチ脇のモニターを介して映像を確認するビデオオペレーターを置くことで、運営コストの削減を実現。ゴールの有効性、PK判定、警告・退場の確認、人違いの防止という4項目において使用される点はVARと変わらない。
最も異なるのは、VARの行使が審判側の判断なのに対し、FVSはテニスやバレーボールなどの「チャレンジ」や野球の「リクエスト」にように、競技者側からの要請で行なわれる点だ。監督には2枚の「カード」が与えられ、FVSを要請する際に1枚を提出。ビデオ判定によって判定が覆った場合にはカードは返却されて以後も使用できるが、逆のケース、判定が覆らなかった場合は没収となる。つまり、最低2回の要請が可能ということだ。
段取りとしては、もし判定が明らかに間違っていると思った場合、監督は第4審判にカードを提出してFVSを要請。選手が判定に異議を唱える場合は、これまでのように審判に詰め寄るのではなく、ベンチの監督に向かって人差し指を振り、ビデオチェックの意思を伝える。カードを使用するかどうかは、最終的に監督が判断する。
これらの動きは、VARと同様に問題のプレーの直後に行なわなければならない。審判はインプレーの場合には中立的な状況においてプレーを止める必要があり、決定的な場面などでは続行されるという点も変わらない。
同紙は「これまで通り、誰かが試合の流れを意図的に止める“抜け道”を考え出すかもしれない。混乱した場面でリズムを崩すために、これを利用する者もいるだろう。しかし、重要なのは全員が制度の趣旨を理解することだ。セリエCの歴史的な転換点であり、誤審や抗議は確実に減るはずだ」と、その効果に期待を寄せる。
FIFA(国際サッカー連盟)のピエルルイジ・コッリーナ審判委員長らが発表会で説明した新システムが、試合の流れや審判の判定にいかなる影響を与えるのか。セリエCの新たな試みは世界的に大きな注目を集めるだろう。
構成●THE DIGEST編集部
【記事】アッレーグリ新体制のミランを深掘り「コンテのナポリから拝借したアイデア」「レオンと同じくらい重要な役割を担っているのが」【現地発コラム】
【記事】昨季の働きぶりはデ・ブライネ、ラインデルスよりも上!? ミランが新加入の39歳モドリッチの健在ぶりを「驚きのデータ」で証明!
【記事】偉大すぎる父との比較や中傷に苦しんだキャリア…トッティの息子が19歳でサッカー選手を引退! ジダン、マルディーニ、ペレらの二世も味わった苦難
イタリアでは、トップリーグのセリエAと、ひとつ下のセリエBでVARが導入されているが、さらに下部カテゴリーに当たるセリエCで今シーズンから、独自のビデオ判定システムが運用される。それが「フットボール・ビデオ・サポート」。略して「FVS」だ。
「VARと呼ばないで。ライトVAR、オンコールVARなど、どんな言葉でも構わない。来たるセリエCの目玉となる新システムはFVSだ。ピッチの真ん中で選手が空に向かって人差し指を振っているのを見たら、それは観客や星空、あるいは天気を指しているのではなく、ピッチ上で何かが起こり、映像による確認が必要だと監督に知らせているのだ」
このように記した伊紙『Gazzetta dello Sport』は、「昨季まで、プレーオフを除けば何の映像支援もなかったカテゴリーにとって大きな前進。セリエCはもう“格下の存在”ではなくなる」と、FVSの導入を評価した。
新たに導入されるFVS システムは、VARと異なる部分が多い。同紙によると、セリエCで使用される各スタジアムのなかには、テレビカメラが2台しか設置されないところが少なくなく(通常は3~5台を設置)、VARのように複数方向からミリ単位でプレーをチェックするのは不可能だという。
そこでビデオルームに追加の審判を配置するのではなく、ピッチ脇のモニターを介して映像を確認するビデオオペレーターを置くことで、運営コストの削減を実現。ゴールの有効性、PK判定、警告・退場の確認、人違いの防止という4項目において使用される点はVARと変わらない。
最も異なるのは、VARの行使が審判側の判断なのに対し、FVSはテニスやバレーボールなどの「チャレンジ」や野球の「リクエスト」にように、競技者側からの要請で行なわれる点だ。監督には2枚の「カード」が与えられ、FVSを要請する際に1枚を提出。ビデオ判定によって判定が覆った場合にはカードは返却されて以後も使用できるが、逆のケース、判定が覆らなかった場合は没収となる。つまり、最低2回の要請が可能ということだ。
段取りとしては、もし判定が明らかに間違っていると思った場合、監督は第4審判にカードを提出してFVSを要請。選手が判定に異議を唱える場合は、これまでのように審判に詰め寄るのではなく、ベンチの監督に向かって人差し指を振り、ビデオチェックの意思を伝える。カードを使用するかどうかは、最終的に監督が判断する。
これらの動きは、VARと同様に問題のプレーの直後に行なわなければならない。審判はインプレーの場合には中立的な状況においてプレーを止める必要があり、決定的な場面などでは続行されるという点も変わらない。
同紙は「これまで通り、誰かが試合の流れを意図的に止める“抜け道”を考え出すかもしれない。混乱した場面でリズムを崩すために、これを利用する者もいるだろう。しかし、重要なのは全員が制度の趣旨を理解することだ。セリエCの歴史的な転換点であり、誤審や抗議は確実に減るはずだ」と、その効果に期待を寄せる。
FIFA(国際サッカー連盟)のピエルルイジ・コッリーナ審判委員長らが発表会で説明した新システムが、試合の流れや審判の判定にいかなる影響を与えるのか。セリエCの新たな試みは世界的に大きな注目を集めるだろう。
構成●THE DIGEST編集部
【記事】アッレーグリ新体制のミランを深掘り「コンテのナポリから拝借したアイデア」「レオンと同じくらい重要な役割を担っているのが」【現地発コラム】
【記事】昨季の働きぶりはデ・ブライネ、ラインデルスよりも上!? ミランが新加入の39歳モドリッチの健在ぶりを「驚きのデータ」で証明!
【記事】偉大すぎる父との比較や中傷に苦しんだキャリア…トッティの息子が19歳でサッカー選手を引退! ジダン、マルディーニ、ペレらの二世も味わった苦難
関連記事
- アッレーグリ新体制のミランを深掘り「コンテのナポリから拝借したアイデア」「レオンと同じくらい重要な役割を担っているのが」【現地発コラム】
- ガンペール杯に5発大勝のバルセロナ、マドリードのメディアも「このバルサは脅威だ」と賛辞! 地元紙は「全タイトル獲得を狙える可能性」を期待
- 旗手怜央、2節にして「今季のベストゴール候補」と現地絶賛の美弾で連勝に貢献「日本のスターが信じられないようなシュートを突き刺した」
- 【画像】鎌田大地もトロフィーリフト!1861年創立後初のタイトルを獲得し、歓喜に沸くクリスタル・パレスを特集!
- 【画像】クラブ年間最優秀選手賞を受賞!マンCに所属する長谷川唯の24-25シーズンを厳選ショットでプレーバック!