「キャプテンとリーダーシップは必ずしも同義ではない。各チームにはチームメイトによって選ばれたキャプテンがいる。しかし本当にロッカールームを動かし、チームを勝利に導くのはリーダーだ。キャプテンマークは重要だが、それ以上に重要なのはリーダーシップだ」
これはスペイン紙『MUNDO DEPORTIVO』の編集長、サンティ・ノジャ氏の言葉だが、たしかにサッカー界にはキャプテンマークを巻いていなくても、卓越したリーダーシップを発揮する選手がいる。昨シーズンのバルセロナでは、イニゴ・マルティネスがまさにその象徴だった。「常に前向きで、正しい方法で仲間を鼓舞する。真のファイターにして、偉大なリーダーだ」とハンジ・フリック監督も絶賛していた。
だからこそ現在、バルサではリーダーの不在が嘆かれている。新たなリーダーの台頭が望まれるが、作家のアレクシス・ラシオネロ氏は『MUNDO DEPORTIVO』のコラムでこう論じる。
「ラミネ・ヤマルはスターで、ペドリは羅針盤になれるかもしれないが、どちらも真のキャプテンとして周りを引っ張る能力は持ち合わせていない。フレンキー・デ・ヨングはリーダーの資質を持っているが、バルサでは常に中途半端な立ち位置にとどまっている。ロベルト・レバンドフスキは前線のリーダーになれるが、それ以上でもそれ以下でもない。そんな中、私が好印象を抱いているのはマルク・カサドとマルク・ベルナルだ。ただ彼らはまだ22歳と18歳。あまりにも若すぎる。新GKのジョアン・ガルシアもリーダーの素質はありそうだが、正直、いずれも決め手に欠けるのが現状だ。自然な形で、あるいは即興的に新たなリーダーが現われるのを待つしかない」
バルサには5人のキャプテンがいる。先述したデ・ヨングは第3キャプテンでペドリは第5キャプテン。チーフキャプテンのマルク=アンドレ・テア・シュテーゲンはもともとマイペース主義者で、第2キャプテンのロナルド・アラウホは、今年1月のユベントス移籍騒動で株を下げた。一方で、ピッチ上で率先してハードワークを体現する、第4キャプテンのラフィーニャを評価する声は少なくない。
新リーダーの台頭の必要性が叫ばれているのは、ライバルのレアル・マドリーも同様だ。近年、セルヒオ・ラモス、トニ・クロースらリーダー役を担っていたベテランが去り、前監督のカルロ・アンチェロッティもその点を指摘していたが、さらに今夏、ルカ・モドリッチとルーカス・バスケスが退団。自ずと存在感が高まっているのが新キャプテンのダニ・カルバハルだ。
現役時代に彼と一緒にプレーした経験もあるシャビ・アロンソ監督は、「パーソナリティ、成熟度、影響力、マドリーとスペイン代表でキャプテンマークを巻く重み、チームメイトからの信頼、チームを引っ張る責任感……。多くの経験を糧にして進化を続けている」と語っている。
カルバハルに続く存在と言えば、フェデ・バルベルデがまず挙がる。彼はどちらかと言えば懸命にプレーする姿勢を見せ、背中で引っ張るタイプだ。一方で天性のリーダー気質の持ち主との呼び声が高いジュード・ベリンガムは、2年目の昨シーズン、傲慢な面を時折覗かせた。
そんな中、新リーダーとして力強く名乗りを挙げているのがキリアン・エムバペだ。加入2年目を迎え、自信も自覚も高まったとはよく語られているところで、それがリーダーシップにも繋がると大手ラジオ局『Cadena SER』のアントニオ・ロメロ氏は力説する。
「エムバペは、ロッカールームで大きな声を張り上げるタイプではない。プレークオリティと、疲労で足が止まる終盤に試合を決める能力の高さで、すべての選手にとって良きお手本となっている。そして、彼はその役割に非常に満足しているように見える。ピッチで見せるハイパフォーマンスがエムバペをマドリーの新たなリーダーにのし上がらせた」
バルサ、マドリーともチームは今、世代交代の時期を迎えている。新リーダー探しの行方も、今シーズンの結果を左右する重要な要素となりそうだ。
文●下村正幸
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これはスペイン紙『MUNDO DEPORTIVO』の編集長、サンティ・ノジャ氏の言葉だが、たしかにサッカー界にはキャプテンマークを巻いていなくても、卓越したリーダーシップを発揮する選手がいる。昨シーズンのバルセロナでは、イニゴ・マルティネスがまさにその象徴だった。「常に前向きで、正しい方法で仲間を鼓舞する。真のファイターにして、偉大なリーダーだ」とハンジ・フリック監督も絶賛していた。
だからこそ現在、バルサではリーダーの不在が嘆かれている。新たなリーダーの台頭が望まれるが、作家のアレクシス・ラシオネロ氏は『MUNDO DEPORTIVO』のコラムでこう論じる。
「ラミネ・ヤマルはスターで、ペドリは羅針盤になれるかもしれないが、どちらも真のキャプテンとして周りを引っ張る能力は持ち合わせていない。フレンキー・デ・ヨングはリーダーの資質を持っているが、バルサでは常に中途半端な立ち位置にとどまっている。ロベルト・レバンドフスキは前線のリーダーになれるが、それ以上でもそれ以下でもない。そんな中、私が好印象を抱いているのはマルク・カサドとマルク・ベルナルだ。ただ彼らはまだ22歳と18歳。あまりにも若すぎる。新GKのジョアン・ガルシアもリーダーの素質はありそうだが、正直、いずれも決め手に欠けるのが現状だ。自然な形で、あるいは即興的に新たなリーダーが現われるのを待つしかない」
バルサには5人のキャプテンがいる。先述したデ・ヨングは第3キャプテンでペドリは第5キャプテン。チーフキャプテンのマルク=アンドレ・テア・シュテーゲンはもともとマイペース主義者で、第2キャプテンのロナルド・アラウホは、今年1月のユベントス移籍騒動で株を下げた。一方で、ピッチ上で率先してハードワークを体現する、第4キャプテンのラフィーニャを評価する声は少なくない。
新リーダーの台頭の必要性が叫ばれているのは、ライバルのレアル・マドリーも同様だ。近年、セルヒオ・ラモス、トニ・クロースらリーダー役を担っていたベテランが去り、前監督のカルロ・アンチェロッティもその点を指摘していたが、さらに今夏、ルカ・モドリッチとルーカス・バスケスが退団。自ずと存在感が高まっているのが新キャプテンのダニ・カルバハルだ。
現役時代に彼と一緒にプレーした経験もあるシャビ・アロンソ監督は、「パーソナリティ、成熟度、影響力、マドリーとスペイン代表でキャプテンマークを巻く重み、チームメイトからの信頼、チームを引っ張る責任感……。多くの経験を糧にして進化を続けている」と語っている。
カルバハルに続く存在と言えば、フェデ・バルベルデがまず挙がる。彼はどちらかと言えば懸命にプレーする姿勢を見せ、背中で引っ張るタイプだ。一方で天性のリーダー気質の持ち主との呼び声が高いジュード・ベリンガムは、2年目の昨シーズン、傲慢な面を時折覗かせた。
そんな中、新リーダーとして力強く名乗りを挙げているのがキリアン・エムバペだ。加入2年目を迎え、自信も自覚も高まったとはよく語られているところで、それがリーダーシップにも繋がると大手ラジオ局『Cadena SER』のアントニオ・ロメロ氏は力説する。
「エムバペは、ロッカールームで大きな声を張り上げるタイプではない。プレークオリティと、疲労で足が止まる終盤に試合を決める能力の高さで、すべての選手にとって良きお手本となっている。そして、彼はその役割に非常に満足しているように見える。ピッチで見せるハイパフォーマンスがエムバペをマドリーの新たなリーダーにのし上がらせた」
バルサ、マドリーともチームは今、世代交代の時期を迎えている。新リーダー探しの行方も、今シーズンの結果を左右する重要な要素となりそうだ。
文●下村正幸
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