第3節という早いタイミングで訪れた「イタリアダービー」は、4-3でホームのユベントスが勝利を収めて開幕3連勝を飾った。敗れたインテルは前節のウディネーゼ戦に続く連敗で、早くも首位から勝点6差に後退している。
ともにスクデットを目標に掲げる優勝候補の直接対決らしく、90分に渡ってどちらが勝ってもおかしくない接戦が続き、逆転に次ぐ逆転の末、後半アディショナルタイムに決着が着くスリリングな好試合だった。
ただ、両チーム合計7得点と展開は派手だったものの、ゴールはすべてミドルシュートかセットプレー絡みで、『Opta』のデータに基づくxG(ゴール期待値)は0.68対0.89といずれも1点以下。構築途上の未完成なチーム同士が戦う序盤戦にありがちな、見た目は派手だが、それぞれ課題は多いタイプの試合でもあった。
ホームのユベントスを率いるイーゴル・トゥドル監督は、右トップ下のフランシスコ・コンセイソンがポルトガル代表での故障で欠場したこともあり、過去2試合の3-4-2-1から、MFを1人増やして中盤を厚くした3-5-1-1にシステムを変更してこの試合に臨んだ。1トップには、放出リストに挙がっていたものの移籍話がまとまらず、契約最終年を迎えて残留が決まったドゥシャン・ヴラホビッチが今シーズン初先発した。
ユベントス(3-5-1-1)
GK:ディ・グレゴリオ
DF:ガッティ、ブレーメル、ケリー
MF:カルル、コープマイネルス、ロカテッリ、K・トゥラム、マッケニー
OMF:ユルディズ
FW:ヴラホビッチ
一方、インテルのクリスティアン・キブ監督は、前任のシモーネ・インザーギが用いていた3-5-2を継続採用。こちらは、移籍期限ギリギリに放出したバンジャマン・パバールと入れ替わりに獲得したマヌエル・アカンジがスタメン起用された以外は、過去2シーズンとほぼ変わらぬおなじみの顔ぶれである。プレシーズンには3-4-2-1の導入も検討されていたようだが、その鍵となるべきアデモラ・ルックマン(アタランタ)の獲得に失敗したのに加え、移籍が濃厚と思われたハカン・チャルハノールの残留もあってのことだろう。このトルコ代表キャプテンを司令塔に据えた3セントラルMFの中盤を維持する決断が下されている。
インテル(3-5-2)
GK:ゾマー
DF:アカンジ、アチェルビ、バストーニ
MF:ドゥムフリース、バレッラ、チャルハノール、ムヒタリアン、C・アウグスト
FW:テュラム、ラウタロ
試合は、ホームのユベントスがハイプレスをあまり行なわず、低めのミドルブロックで相手を待ち受ける守備戦術を基本に据えたこともあり、後方からのビルドアップを基本に非保持時にはハイプレスを試みるインテルが、ボールと主導権を握って敵陣で試合を運ぶ展開でスタートした。
しかし、14分に先制したのはユベントス。時計が10分を回って、インテルのプレッシャーラインを押し下げるのに初めて成功し、攻撃のキーマンであるトップ下のケナン・ユルディズが2ライン(MFとDF)間で前を向いたところから、タイミングよく大外からゴール前に侵入した右WBピエール・カルルに絶妙なスルーパスを通す決定機を作り出してCKを奪取。そのCKのこぼれ球を拾っての二次攻撃からCBロイド・ケリーがゴールネットを揺らした。
リードしたユベントスが受けに回る姿勢に徹したこともあり、その後はインテルがボールと主導権を握る展開がより鮮明になる。容易にアタッキングサードまで前進した後は、中央を厚く固めたユベントスのローブロック攻略を急がず、落ち着いてボールを動かして揺さぶりながら、クロスやミドルシュートでフィニッシュする機会をうかがうインテル。それに対してユベントスはなかなかボールが奪えず、奪っても自陣から持ち出ず前にロストするなど、我慢を強いられる時間帯が続いた。
そして30分、一旦相手を押し下げた後にミドルシュートという狙い通りの形からチャルハノールの同点ゴールが決まり、インテルが1-1に追いつく。これで試合が落ち着くかと思いきや、38分に今度はユベントスがユルディズの強引かつ強烈な25メートルのミドルシュートで勝ち越しに成功して、試合の流れを引き戻した。
とはいえユベントスは、インテルのプレス圧力が下がって多少ボールが持てるようになった前半のラスト15分も、ビルドアップが中盤で詰まることが多く、内容的には手詰まり感が強かった。実際、オープンプレーから危険な状況を作ったのは、このミドルシュートの場面も含め、ユルディズが前を向いて仕掛ける形ができた時のみ。普段ならもう1人のトップ下に起用されるコンセイソンの突破という選択肢があるものの、それを欠いたこの試合ではユルディズ(とセットプレー)への依存度の高さが目立つことになった。
2-1で終わった前半は、ボール支配率64%と主導権を握って攻め込みながら、フィニッシュに決め手を欠き、枠内シュートはチャルハノールのミドル2本だけ(うち1本が同点ゴール)のインテル、守勢に回って耐えながら数少ないチャンスをものにして枠内シュート2本で2得点のユベントスという構図。オープンプレーから質の高い決定機を作ることができず、個のクオリティー(ユルディズ、チャルハノール)を頼りに攻撃を形にしたという点では、どちらも変わらなかった。
ともにスクデットを目標に掲げる優勝候補の直接対決らしく、90分に渡ってどちらが勝ってもおかしくない接戦が続き、逆転に次ぐ逆転の末、後半アディショナルタイムに決着が着くスリリングな好試合だった。
ただ、両チーム合計7得点と展開は派手だったものの、ゴールはすべてミドルシュートかセットプレー絡みで、『Opta』のデータに基づくxG(ゴール期待値)は0.68対0.89といずれも1点以下。構築途上の未完成なチーム同士が戦う序盤戦にありがちな、見た目は派手だが、それぞれ課題は多いタイプの試合でもあった。
ホームのユベントスを率いるイーゴル・トゥドル監督は、右トップ下のフランシスコ・コンセイソンがポルトガル代表での故障で欠場したこともあり、過去2試合の3-4-2-1から、MFを1人増やして中盤を厚くした3-5-1-1にシステムを変更してこの試合に臨んだ。1トップには、放出リストに挙がっていたものの移籍話がまとまらず、契約最終年を迎えて残留が決まったドゥシャン・ヴラホビッチが今シーズン初先発した。
ユベントス(3-5-1-1)
GK:ディ・グレゴリオ
DF:ガッティ、ブレーメル、ケリー
MF:カルル、コープマイネルス、ロカテッリ、K・トゥラム、マッケニー
OMF:ユルディズ
FW:ヴラホビッチ
一方、インテルのクリスティアン・キブ監督は、前任のシモーネ・インザーギが用いていた3-5-2を継続採用。こちらは、移籍期限ギリギリに放出したバンジャマン・パバールと入れ替わりに獲得したマヌエル・アカンジがスタメン起用された以外は、過去2シーズンとほぼ変わらぬおなじみの顔ぶれである。プレシーズンには3-4-2-1の導入も検討されていたようだが、その鍵となるべきアデモラ・ルックマン(アタランタ)の獲得に失敗したのに加え、移籍が濃厚と思われたハカン・チャルハノールの残留もあってのことだろう。このトルコ代表キャプテンを司令塔に据えた3セントラルMFの中盤を維持する決断が下されている。
インテル(3-5-2)
GK:ゾマー
DF:アカンジ、アチェルビ、バストーニ
MF:ドゥムフリース、バレッラ、チャルハノール、ムヒタリアン、C・アウグスト
FW:テュラム、ラウタロ
試合は、ホームのユベントスがハイプレスをあまり行なわず、低めのミドルブロックで相手を待ち受ける守備戦術を基本に据えたこともあり、後方からのビルドアップを基本に非保持時にはハイプレスを試みるインテルが、ボールと主導権を握って敵陣で試合を運ぶ展開でスタートした。
しかし、14分に先制したのはユベントス。時計が10分を回って、インテルのプレッシャーラインを押し下げるのに初めて成功し、攻撃のキーマンであるトップ下のケナン・ユルディズが2ライン(MFとDF)間で前を向いたところから、タイミングよく大外からゴール前に侵入した右WBピエール・カルルに絶妙なスルーパスを通す決定機を作り出してCKを奪取。そのCKのこぼれ球を拾っての二次攻撃からCBロイド・ケリーがゴールネットを揺らした。
リードしたユベントスが受けに回る姿勢に徹したこともあり、その後はインテルがボールと主導権を握る展開がより鮮明になる。容易にアタッキングサードまで前進した後は、中央を厚く固めたユベントスのローブロック攻略を急がず、落ち着いてボールを動かして揺さぶりながら、クロスやミドルシュートでフィニッシュする機会をうかがうインテル。それに対してユベントスはなかなかボールが奪えず、奪っても自陣から持ち出ず前にロストするなど、我慢を強いられる時間帯が続いた。
そして30分、一旦相手を押し下げた後にミドルシュートという狙い通りの形からチャルハノールの同点ゴールが決まり、インテルが1-1に追いつく。これで試合が落ち着くかと思いきや、38分に今度はユベントスがユルディズの強引かつ強烈な25メートルのミドルシュートで勝ち越しに成功して、試合の流れを引き戻した。
とはいえユベントスは、インテルのプレス圧力が下がって多少ボールが持てるようになった前半のラスト15分も、ビルドアップが中盤で詰まることが多く、内容的には手詰まり感が強かった。実際、オープンプレーから危険な状況を作ったのは、このミドルシュートの場面も含め、ユルディズが前を向いて仕掛ける形ができた時のみ。普段ならもう1人のトップ下に起用されるコンセイソンの突破という選択肢があるものの、それを欠いたこの試合ではユルディズ(とセットプレー)への依存度の高さが目立つことになった。
2-1で終わった前半は、ボール支配率64%と主導権を握って攻め込みながら、フィニッシュに決め手を欠き、枠内シュートはチャルハノールのミドル2本だけ(うち1本が同点ゴール)のインテル、守勢に回って耐えながら数少ないチャンスをものにして枠内シュート2本で2得点のユベントスという構図。オープンプレーから質の高い決定機を作ることができず、個のクオリティー(ユルディズ、チャルハノール)を頼りに攻撃を形にしたという点では、どちらも変わらなかった。
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