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日本代表

「日本代表は世界の新たな“マタヒガンテス”だ」ブラジルメディアは母国代表に手厳しい分析「アンチェロッティにとっては…」

下村正幸

2025.10.16

ブラジルはチーム作りの遅れを露呈した。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

ブラジルはチーム作りの遅れを露呈した。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 サッカー日本代表は10月14日に国際親善試合でブラジル代表と対戦し、3-2の逆転勝利を収めた。日本にとって歴史的な勝利は、ブラジル側から見れば歴史的な敗北である。1982年、86年のワールドカップ(W杯)で左サイドバックとして出場したジュニオール氏は、「ブラジルはサッカーをプレーしていない。実質的に試合の推移を見守っていただけだ。日本は諦めなかった。根本的に何かを変えたわけではない。攻撃的な姿勢を強めただけだ」と母国に手厳しい指摘をする。

 カルロ・アンチェロッティ監督は5-0で大勝した10日の韓国戦からスタメン8選手を入れ替え、4-3-3のシステムを再び試している。元ブラジル代表のフェリペ・メロ氏は「色々な選手を試すのは、もううんざりだ」と噛みついているが、ブラジルメディア『O Globo』は指揮官の采配に同情的だ。

「アンチェロッティの立場に立って考えてみる必要がある。日本戦はブラジルにとっていい試金石だった。韓国戦で採用した4-2-4の機能性を確認するために、この試合を利用したいという誘惑に駆られても無理はなかった。イタリア人監督には先発メンバーを8人入れ替える十分な理由があった。W杯は短期決戦だ。コンディションやパフォーマンスの変動、あるいは負傷などにより、開幕時にスタメンの選手が最後まで戦い抜けないケースはよくある。監督はその場その場で迅速な対応が求められる。代替案を、たとえグレードの低い親善試合であっても試しておかないと、本番での采配の幅が限られる」

 今年5月に初の外国人指揮官としてブラジル代表監督に就任したアンチェロッティが試合を指揮するのは、これが6試合目だ。CBF(ブラジルサッカー連盟)はW杯南米予選中に3度の監督交代を行なった後、欧州屈指の名将の招聘に踏み切った。『O Globo』は「本来ならば、この時期はスタメンを固めて、チーム作りの最終段階を迎えていなければならない。アンチェロッティは時間と闘いながら、突貫工事で仕上げていく必要がある。今、日本に敗れたのは大した問題ではない。この敗北は代表の強化を巡る迷走とチーム作りの遅れを示すひとつのサインに過ぎない」
 
 同メディアは後半、ブラジルが試合のコントロールを失った点を敗因に挙げているが、それも「日本は韓国よりも明らかに優れたライバルだ。チーム全体に一体感がある。粘り強い守備を見せ、攻撃面ではもちろんブラジルほどではないにせよ、個の力で打開できる選手を揃えている」と言及。別のブラジルメディア『Estadão』が評価する日本の頑張りの賜物でもあった。

 森保ジャパンにとってはカタールW杯のドイツ戦とスペイン戦(いずれも2-1)、2023年9月の親善試合でドイツ戦(4-1)に続くW杯優勝国撃破だ。スペインの大手ラジオ局『Cadena SER』は「日本は、世界のサッカーシーンにおける新たな“マタヒガンテス”(スペイン語でジャイアントキリング)の称号を獲得しつつある。長年にわたり選手の育成、強化に取り組んできた成果がようやく実を結び始めている」と評価。さらに「日本のレベルアップは明らかだ。欧州の主要リーグでプレーする選手が増え、その名前が欧米のファンにも広く知られるようになってきている。W杯でも注目すべきチームのひとつだ」と警戒心を強める。

 日本は大きな爪痕を残した。『O Globo』の試合レポートでは「この敗北はアンチェロッティにとって、いくつかの勝利と同じか、それ以上に有益だったかもしれない」と締めくくられている。

文●下村正幸

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