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来年のバルセロナ会長選を前に高まる緊張…依然としてラポルタの再選が優勢も、情勢を大きく揺るがす一報が!「メッシが対立候補を探している」

下村正幸

2025.11.05

「メッシが会長選に向けて動いている」との報道が事実なら、ラポルタ(左)は苦戦を強いられそうだ。(C)Getty Images

 2026年はバルセロナにとって会長選の年になる。現職のジョアン・ラポルタ会長の任期は来年6月30日で満了を迎える。トップが交代する影響はどの組織でも大きいが、政治色の濃いバルサでは一層の注目を集める。

 本命は、すでに再選への出馬を表明しているラポルタだ。しかし、経済学者エンリク・ジョベ氏はこう語る。「現実は火薬の臭いがする。説明を求める者は無視され、ラポルタの演説は彼の統治スタイルをそのまま映している。熱狂的な支持者にとっては魅力的だが、組織の透明性という観点から見れば危うい。カリスマ性と派手な言動で信頼を求めるが、疑問が多く、支持者は徐々に離れつつある」。盤石に見えても、死角は存在するという指摘だ。

 一方で、スペイン紙『SPORT』の元編集長ジョゼップ・マリア・カサノバス氏は、ソシオ(クラブ会員)の関心がどこにあるかを強調する。「バルサのソシオにとって最も大切なのはチームの勝利であり、それ以外は優先順位が低い。彼らは楽しむために会費を払っており、財政や負債、ガバナンスにはほとんど関心がない」。その点、スポーツ面での立て直しに着手したラポルタは、ハンジ・フリックを招聘してチームを新たな方向へ導いた。
 
 カンプ・ノウの再オープンをめぐっては紆余曲折が続くが、もし予定通り再開すればラポルタは自らの功績としてアピールするだろう。さらに、『SPORT』の現編集長ジョアン・ベイルス氏が「彼は並外れた発信力を持ち、自信をもって語りかける。注目を浴びるのが好きで、必要とあらばためらわず大衆迎合に走る」と語るように、ラポルタはメディア対応でも抜群の存在感を放つ。

 対照的に、反対派には勢いがない。作家で熱心なバルサファンのウーゴ・スコッシア氏は、「現状では有力な対抗馬が見当たらない。彼らは慎重で控えめな言葉に終始し、情熱が伝わってこない。ファンの心に直接訴える力がなく、混沌の中でこそ輝くラポルタとは対照的だ」と嘆く。
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メッシの協力を得られれば、どの候補者にとっても大きな追い風に