バルセロナが11月22日、ラ・リーガのアスレティック・ビルバオ戦で、2年半ぶりに本拠地カンプ・ノウに帰還した。ラジオ局『ONDA CERO』の名物実況アナウンサー、アルフレッド・マルティネス氏は、「バルサのファンやソシオが興奮気味に世界のサッカーの新たな聖地を訪れる姿を見るのは特別な体験だった。過去の思い出を胸に、感動の涙をこらえられなかった者もいた。それは単なる一日ではなかった。非常に特別な日、歴史的な日であり、私たちは皆、この瞬間を生きていると自覚していた」とその様子をつづっている。
そんな中、このメモリアルな日に、スペイン紙『SPORT』の元編集長、ジョゼップ・マリア・カサノバス氏が「世界で最も幸せな男と」と評したのがジョアン・ラポルタ会長だ。工事の遅れで帰還の時期が二転三転したため、メディアの中には、その詳細な理由はもちろん、巨額の費用や財政リスクなどについてもっと説明責任を果たすべきという声は少なくない。しかしカサノバス氏は、「スタジアムを訪れたファンの顔を見れば、すべてが分かる」と語り、こう続けた。
「“我が家”への帰還は、すべてのバルセロニスタに満足感や幸福感、そして高揚感をもたらした。ピッチ上の選手たちもその華やかな雰囲気に感化され、真新しい芝生にふさわしい、スピーディーで見事なプレーを見せた」と、ファンの幸せを描写したうえで、プロジェクトを牽引した会長のリーダーシップを評価。「様々な困難が生じたにもかかわらず、ラポルタ会長は常に、クラブが凡庸に成り下がらずに前進しつづけるにはスタジアムのアップデートが不可欠だと確信していた。そして、持ち前の剛腕を発揮して彼はついにその願いを叶えた。そのレガシーは、負債や工事の遅れを超えて計り知れない価値を持つ。ラポルタは経験に基づく直感をもって正しい決断を下した」と絶賛する。
カサノバス氏が強調するように、待ちに待ったカンプ・ノウへの帰還だった。スペイン紙『EL PAIS』のマヌエル・ボイス記者は、ファンにとってホームスタジアムがどのような意味を持つのかを次のように語っている。
「クラブはホームタウンを移転し、スター選手を売却し、エンブレムやアンセムを変更できる。グローバル企業を装い、実際にそうなるのは可能だ。しかし、クラブがスタジアムを失った時、すべてが消える。自前のスタジアムは単なるスポーツ施設ではない。そこに入ると、一個人ではなくなり、群衆の一員になる。父が息子にスタンドを指さして『お前の祖父とここで観戦したんだ』と言う場所だ。ファンは、まるで教会に帰るかのように、何年かぶりに故郷の地に足を踏み入れるかのように、スタジアムに戻ってくる。埃が積もっていようが、工事半ばだろうが、何かがまだ不完全だろうが、関係ない。重要なのは、同じ階段を再び踏みしめ、同じ芝生を眺め、その場所が自分を見出し、認めてくれると再び実感できる点だ」
バルサはこの日、4-0の快勝を収めてカンプ・ノウ帰還を祝った。ボイス氏が言及するように今も大規模改修工事は続いており、今回は観客制限付きの再開に過ぎないが、アルフレッド・マルティネス氏は未来に思いを馳せる。「バルサは新たなステージへと踏み出した。壮大で輝かしい未来へとつながる新時代の到来を予感させる」
文●下村正幸
【動画】カンプ・ノウ復帰、最初のゴールはレバンドフスキ!
そんな中、このメモリアルな日に、スペイン紙『SPORT』の元編集長、ジョゼップ・マリア・カサノバス氏が「世界で最も幸せな男と」と評したのがジョアン・ラポルタ会長だ。工事の遅れで帰還の時期が二転三転したため、メディアの中には、その詳細な理由はもちろん、巨額の費用や財政リスクなどについてもっと説明責任を果たすべきという声は少なくない。しかしカサノバス氏は、「スタジアムを訪れたファンの顔を見れば、すべてが分かる」と語り、こう続けた。
「“我が家”への帰還は、すべてのバルセロニスタに満足感や幸福感、そして高揚感をもたらした。ピッチ上の選手たちもその華やかな雰囲気に感化され、真新しい芝生にふさわしい、スピーディーで見事なプレーを見せた」と、ファンの幸せを描写したうえで、プロジェクトを牽引した会長のリーダーシップを評価。「様々な困難が生じたにもかかわらず、ラポルタ会長は常に、クラブが凡庸に成り下がらずに前進しつづけるにはスタジアムのアップデートが不可欠だと確信していた。そして、持ち前の剛腕を発揮して彼はついにその願いを叶えた。そのレガシーは、負債や工事の遅れを超えて計り知れない価値を持つ。ラポルタは経験に基づく直感をもって正しい決断を下した」と絶賛する。
カサノバス氏が強調するように、待ちに待ったカンプ・ノウへの帰還だった。スペイン紙『EL PAIS』のマヌエル・ボイス記者は、ファンにとってホームスタジアムがどのような意味を持つのかを次のように語っている。
「クラブはホームタウンを移転し、スター選手を売却し、エンブレムやアンセムを変更できる。グローバル企業を装い、実際にそうなるのは可能だ。しかし、クラブがスタジアムを失った時、すべてが消える。自前のスタジアムは単なるスポーツ施設ではない。そこに入ると、一個人ではなくなり、群衆の一員になる。父が息子にスタンドを指さして『お前の祖父とここで観戦したんだ』と言う場所だ。ファンは、まるで教会に帰るかのように、何年かぶりに故郷の地に足を踏み入れるかのように、スタジアムに戻ってくる。埃が積もっていようが、工事半ばだろうが、何かがまだ不完全だろうが、関係ない。重要なのは、同じ階段を再び踏みしめ、同じ芝生を眺め、その場所が自分を見出し、認めてくれると再び実感できる点だ」
バルサはこの日、4-0の快勝を収めてカンプ・ノウ帰還を祝った。ボイス氏が言及するように今も大規模改修工事は続いており、今回は観客制限付きの再開に過ぎないが、アルフレッド・マルティネス氏は未来に思いを馳せる。「バルサは新たなステージへと踏み出した。壮大で輝かしい未来へとつながる新時代の到来を予感させる」
文●下村正幸
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