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日本代表

「組織力が武器」は過去の話?日本代表は守備の不安を個で埋め合わせていた

清水英斗

2020.10.11

個々の能力の高さは感じさせたが、奪ったボールが攻撃につながらないのは課題だ。(C)Getty Images

個々の能力の高さは感じさせたが、奪ったボールが攻撃につながらないのは課題だ。(C)Getty Images

 森保ジャパンってどんなチームだったかな。約1年ぶり、久しぶりの日本代表ということで、2018年のチーム初陣を思い出しながらカメルーン戦を観始めた。当時はコスタリカ、パナマ、ウルグアイと対戦して3連勝を飾ったが、アグレッシブな守備と、ボールを奪った後の強烈な速攻が印象的だったのを覚えている。

 やりたいことは変わっていないようだ。日本はカメルーンのキックオフと同時に、ボールに襲いかかった。4-4-2の横幅を狭め、アグレッシブにプレスを浴びせる。日本の守備陣形のコンパクトさは、むしろコロナ前より高いと感じた。約1年のブランクは、馴れ合いになりがちな習慣を引き締める側面もあったのだろうか。日本はその勢いでカメルーンのミスを誘発し、苦し紛れのパスをインターセプトしていく。

 しかし、課題が出たのはその後だ。引っ掛けて奪ったボールが攻撃につながらない。相手のパスミスを雑に打ち返して行き来するなど、アグレッシブというよりは、単純に忙しないだけの攻守に行き着く。一度ボールを収めたり、強引に剥がしたりするキャラクターを持った中島翔哉の不在は響いた。
 
 すると日本が拙攻を繰り返すうちに、カメルーンが攻撃を修正した。右SB2番のコリンズ・ファイが高い位置を取り、右ウイング21番のセルジュ・タベクと共に、安西幸輝に対して2対1を強いていく。そこから芋づる式に崩され、日本の左サイドは不安定になった。

 対処法として、左サイドハーフの原口元気がマンマークで下がってしまえば簡単解決だが、それは自陣に引き下がる形になるため、前述の森保ジャパンのやりたいこととは違う。少なくともプランAにはなり得ない。

 敵陣でアグレッシブにプレーするためには、相手の受け所に合わせるのではなく、縦パスの出所を潰したいところだ。カメルーンはCB2人と、最終ラインに下りたアンカーの7番サムエル・ウム・グエットの3人で、3-4-3気味にボールを運んで来た。当然、3人の出所に対して大迫勇也と南野拓実の2人だけでは追い切れないので、機を見て原口が前へ行き、動的にマークを噛み合わせる必要がある。

 だが、この連動はあまり見られなかった。原口が前へ出るのをスイッチに、安西や柴崎岳、冨安健洋らがスライドすればいいが、原口のスイッチは押されず、中間ポジションを保ったままだ。そのため、右CB4番のハロルド・ムクゥディがフリーで配球する状況が目立った。ミスマッチを硬直して待つだけの日本の中盤では、縦パスを引っ掛けられない。結果、安西の数的不利から崩される場面は増えた。
 

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