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久保建英の新天地候補に挙げられるベティスの厳しい台所事情…「出場保証は不明」と疑問を呈する声も

THE DIGEST編集部

2020.11.29

久保の去就についての報道が後を絶たない。とはいえ、どこも決め手にはかけるようだ。(C)Getty Images

 現地メディアの報道に端を発し、今冬でのビジャレアル退団の噂がまことしやかに囁かれている久保建英。事の真偽よりも、今では新たな移籍先がどこになるかに、人々の興味が移ってきている。

 19歳の将来性豊かな日本人MFの新天地候補として、複数のメディアが挙げているのは、ベティス、ソシエダ、バジャドリー、バレンシアの4チームで、なかでも最有力といわれているのが、アンダルシアの古豪で、2年前には乾貴士も在籍したベティスである。

 その理由として、スペイン代表の技巧的なMFセルヒオ・カナレスが負傷したことが挙げられ、来年2月まで戦線を離脱するため、その代役として、バルセロナのリキ・プッチやカルロス・アレニャとともに、カナレスと同じレフティーである久保にも注目が注がれることになったのだという。

 これについてセビージャのスポーツ新聞『ESTADIO DEPORTIVO』は「久保の実力を考えれば、彼の加入は歓迎すべきものであり、セビージャは獲得のための努力を怠らないだろう」と綴っているが、同時にそれが困難を伴うものであるとも指摘している。

 最大の問題はベティスの厳しい財政事情にあり、クラブは2020-21シーズンの合計額を7130万4000ユーロ(約87億7000万円)に抑えるため、選手の給与を平均で29%も削減することを余儀なくされているという。

 ラ・リーガのハビエル・テバス会長も、「経営努力をしており、心配はしていないが、選手の売却など、さらなる努力が必要になるだろう」とベティスの現状に言及しているが、この古豪クラブは今冬、来夏と、収支のバランスが健全な状態であることを証明する必要がある。

 その一方で、ベティスが今冬に選手を放出する予定はなく、このままでは、新たな戦力を迎え入れる余裕はないと、同メディアは見ている。

 マドリーがビジャレアルから得る久保のレンタル料は250万ユーロ(約3億円)といわれているが、これは成績などに応じて500万ユーロまで上昇する一方で、中途解約の場合は半分になるといわれている。
 
 通常であれば、マドリーにとっては取るに足らない金額かもしれないが、今季は「白い巨人」もかなり金に関してはシビアであり、仮にビジャレアルとのレンタルを打ち切った場合、新天地となるクラブにもそれなりの"見返り"を求めることになり、これはベティスにとっても厳しいものとなる。

 さらにベティスには、久保自身のサラリーを低く抑える交渉も必要になるため、地元紙は「複雑な状況」と報じているが、そもそもこのクラブが久保にとって"約束の地"となるのかどうかに疑問を呈するメディアもある。

 マドリーの専門メディア『THEREALCHAMPS』は、久保を「すでにラ・リーガのトッププレーメーカーのひとり」と認め、「ベティスのマヌエル・ペレグリーニ監督も、久保の素晴らしさを理解し、彼に強い関心を持っている」と綴りながらも、この日本人が十分なプレー時間を保証されるかどうかは分からないという。

「(2月に復帰予定の)カナレスやナビル・フェキルのようなクオリティの高い選手がいるし、ベティスには欧州カップ戦もない。その点、ソシエダであればヨーロッパリーグに出場しているし(現在はグループステージ敗退圏内の3位だが)、昨季マドリーからレンタルされたマルティン・ウーデゴーの実績もあり、久保も信頼を獲得しやすいだろう」

 このように、深く踏み込んだ様々な憶測が飛び交っている状況だが、果たして事態はどのような動きを見せるのか。冬の移籍市場に向けて、日本の至宝への注目は色々な意味で高まる一方である。

構成●THE DIGEST編集部