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海外サッカー

「泣きそうになった」ミランを救った30歳の苦労人。指揮官や伊紙も称える“ドラマチックな寓話”とは?

THE DIGEST編集部

2021.11.26

CLデビュー戦でゴールを決めたメシアス。ミランのグループステージ突破に望みをつないだ。(C)Getty Images

CLデビュー戦でゴールを決めたメシアス。ミランのグループステージ突破に望みをつないだ。(C)Getty Images

 現地時間11月24日に行なわれたチャンピオンズ・リーグ(CL)グループステージ第5節、グループBではミランがアトレティコ・マドリーに1ー0で今季初勝利を挙げ、決勝トーナメント進出に望みを繋いだ。

【動画】ケシエのクロスをメシアスが合わせた! ミランvsアトレティコのハイライト映像

 8年ぶりのCLで初戦から3連敗を喫し、勝利が必須とされた前節ポルト戦も1-1の引き分けに終わっていたミラン。もはやグループ突破は絶望視され、アトレティコの本拠地ワンダ・メトロポリターノに乗り込んだ一戦で終戦を迎える可能性も十分にあった。

 しかし、試合ではホームチームを上回るボールポゼッションで積極的に攻め込むと、相手の倍のシュート(14本)を放った試合の終盤87分、フランク・ケシエのクロスをジュニオール・メシアスが頭で合わせてゴールをこじ開けたのだ。

 見事サン・シーロでの屈辱を晴らしてみせたミランは、アトレティコと同勝点(4)の3位に浮上し、2位ポルトとは勝点1差になった。最終節で首位のリバプールをサン・シーロで下し、ポルトとアトレティコ(前者のホームゲーム)が引き分けた場合にのみ、ノックアウトステージに立つことが可能となる。

 それゆえ、苦しい状況に変わりはない。だが、それでもひとつハードルをクリアしたチームに対して、ステーファノ・ピオーリ監督は以下のように選手たちを称賛した。
 
「彼らはクオリティーと勇気を持って、常に自分たちを信じながら、素晴らしいパフォーマンスを披露した。この試合は、チームが成熟したこと、そして正しい道を進んでいることを示す重要なショーだった。私は彼らと勝利を祝いたい」

 とりわけ決勝ゴールを挙げたメシアスに対しては、「本物の資質を持った選手であり、これは彼にとってほんの始まりに過ぎない。今夏にチームに加入してしばらくは幾つかの困難に直面したが、今の彼は本当にチームを助けている」と賛辞を惜しまなかった。

 また、ピオーリ監督が「彼の“ストーリー”は本当に素晴らしい」とも語っているとおり、今夏の移籍市場最終日にクロトーネからレンタルで加入した30歳FWのキャリアは、イタリアのスポーツ紙『Gazzetta dello Sport』が「寓話」と表現するほどドラマチックなものである。

 母国ブラジルのクラブ、クルゼイロの下部組織で育ったメシアスは、2011年に兄が住んでいたイタリアへ移り、家電配達員として生計を立てながら、トリノのアマチュアレベルのトーナメントでプレーを続けていた。

 15年に彼の存在を目を留めたASカザーレのエツィオ・ロッシ監督が契約を結ぶと、ピエモンテの地域リーグ(5部リーグに相当)で32試合に出場して21ゴールを記録。セリエD昇格に貢献する。
 
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