日本代表

攻められないし守れない…「ベストメンバー」のU-22日本が露呈した“組織“と“個人“の根深き問題

清水英斗

2019.11.18

序盤は久保(17番)への縦パスがつながっていたが、時間の経過とともに抑えられていった。写真:茂木あきら(THE DIGEST写真部)

 17日、国際親善試合のU-22日本代表対U-22コロンビア代表が行われ、U-22日本は0-2で敗れた。

 来年の東京五輪に向け、堂安律や久保建英を加えた「現時点のベストメンバー」で臨んだU-22日本だが、内容は乏しかった。球際であっさり競り負け、プレーの積極性や一人ひとりの主体性も感じられず、力なく負けた。「目標は金メダル」と口にするのが憚られるような内容だった。

 試合後、森保一監督は「この大観衆が来た中、緊張というかプレッシャーをどう乗り越えていくかは、東京オリンピックに向けて、今日の試合で学ばせてもらったと思います」と語った。これまで世界各地を回って強化試合を続け、つい先日はU-22ブラジルを倒したU-22日本だが、ホームでは力を出し切れなかった。さまざまなアウェー戦を経験した若い選手たちが、意外と慣れていない、大観衆のホーム。本番は東京なので、この雰囲気に慣れる必要がある。
 
 システム運用も不安が残った。

 3-4-2-1で戦うU-22日本は、攻撃で押し込んだときは3-2-5、守備時は両サイドが下がって5-4-1に形が変わる。この運用を行う場合、3バックは攻めるときは攻める、守るときは守ると、攻守のメリハリをつけやすい利点があるが、相手にゲームを支配されると、5-4-1の守備型のままで押し込まれがち。お尻が重いまま、上がらなくなってしまう。

 U-22日本は立ち上がりこそ、右センターバックの岩田智輝から斜めに久保建英へ通したパスなど、効果的な組み立てが見られたが、そうしたパターンはすぐに対応された。4-4-2のU-22コロンビアは、両サイドハーフの片方が前に出て、3トップ気味にU-22日本の3バックの前進を、高い位置から阻むようになった。

 では、どうやってボールを運ぶか。このシステムのかみ合わせにおいて、日本側で空いてくるのはダブルボランチだ。ボールに近い側には相手ボランチの1枚が出てプレッシャーをかけてくるが、相手ボランチの残り1枚は、久保らへのクサビを遮断するため、低い位置に留まっている。U-22日本はここで空いた1枚、主にはボールから遠いほうのボランチを経由しながら組み立てることが可能なはずだが、U-22日本のビルドアップはここをあまり使えなかった。田中碧が欠場するなど、怪我人の影響もあったかもしれない。