今年4月、熊本県にある私立秀岳館高校のサッカー部で30代男性コーチが3年生部員に暴行した動画がSNSで拡散されると、それに段原一詞前監督も関与していたことが明らかになるという一連の騒動が、スポーツ界のみならず社会的な問題として大きな物議を醸した。
サッカー界のみならず、日本のスポーツ界では、かねてから指導者による選手への暴力が後を絶たない。とりわけ高校生年代では、生徒を思っての“指導”と称した悪しき伝統が今なお蔓延り、指導者による体罰がたびたびメディアでも取り沙汰されている。
そんな日本の実情を海外の識者や指導者たちはどう見るのか。列強国の現状を知る人たちの率直な意見をまとめてみたい。今回はスペイン人記者のファン・L・クデイロ氏に訊いた。
―――◆―――◆―――
2007年にスペインは未成年者への体罰の行使における法的な抜け穴を完全に取り除いた。国会で民法の改正案が可決され、教師と保護者が「適度に矯正」する許可が廃止されたのだ。
このような行為は、裁判所に訴えられると、罰金刑に処される場合は以前にもあった。だが、新規則では未成年者に対する「身体的・精神的な尊重」が言及され、社会的要請に応じた法整備を行うべき時期が訪れたと指摘されている。
そもそもスペインでは、体罰が禁止されてからすでに40年以上が経過している。転換点となったのが、独裁体制の終焉と民主主義への移行だ。パブロ・バラジョブレ氏は学校教員として勤務する傍ら、スペイン北西部ガリシア州の主要な草の根サッカークラブのひとつ、ウラルのコーディネーターを務めている。
その彼に今回日本の高校サッカーで起きた騒動の話をすると、驚きを隠せない様子で「スペインの教育の現場では考えられないことだ。サッカークラブならなおさらね。そのような行為は教育者として到底許されることではない。仮にスペインで同じことをしたら仕事を続けられなくなる」という答えが返ってきた。ちなみにウラルは、レアル・マドリーに所属するルーカス・バスケスをはじめプロ選手を数人輩出している。
スポーツを実践するサッカーの育成年代において、最も重要なのは子どもたちへの尊重だ。スペインでも言葉による精神的な暴力が問題になり、それが大事に発展するケースがあるにはある。しかし、体罰は別だ。バラジョブレ氏が強調するように、選手に対して手を上げる指導者はスペインには存在せず、日本と同じようなケースはとても想像できない。
サッカー界のみならず、日本のスポーツ界では、かねてから指導者による選手への暴力が後を絶たない。とりわけ高校生年代では、生徒を思っての“指導”と称した悪しき伝統が今なお蔓延り、指導者による体罰がたびたびメディアでも取り沙汰されている。
そんな日本の実情を海外の識者や指導者たちはどう見るのか。列強国の現状を知る人たちの率直な意見をまとめてみたい。今回はスペイン人記者のファン・L・クデイロ氏に訊いた。
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2007年にスペインは未成年者への体罰の行使における法的な抜け穴を完全に取り除いた。国会で民法の改正案が可決され、教師と保護者が「適度に矯正」する許可が廃止されたのだ。
このような行為は、裁判所に訴えられると、罰金刑に処される場合は以前にもあった。だが、新規則では未成年者に対する「身体的・精神的な尊重」が言及され、社会的要請に応じた法整備を行うべき時期が訪れたと指摘されている。
そもそもスペインでは、体罰が禁止されてからすでに40年以上が経過している。転換点となったのが、独裁体制の終焉と民主主義への移行だ。パブロ・バラジョブレ氏は学校教員として勤務する傍ら、スペイン北西部ガリシア州の主要な草の根サッカークラブのひとつ、ウラルのコーディネーターを務めている。
その彼に今回日本の高校サッカーで起きた騒動の話をすると、驚きを隠せない様子で「スペインの教育の現場では考えられないことだ。サッカークラブならなおさらね。そのような行為は教育者として到底許されることではない。仮にスペインで同じことをしたら仕事を続けられなくなる」という答えが返ってきた。ちなみにウラルは、レアル・マドリーに所属するルーカス・バスケスをはじめプロ選手を数人輩出している。
スポーツを実践するサッカーの育成年代において、最も重要なのは子どもたちへの尊重だ。スペインでも言葉による精神的な暴力が問題になり、それが大事に発展するケースがあるにはある。しかし、体罰は別だ。バラジョブレ氏が強調するように、選手に対して手を上げる指導者はスペインには存在せず、日本と同じようなケースはとても想像できない。
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