海外サッカー

日本の躊躇ゼロのプレスに歯車が崩れたドイツ。“史上初の屈辱”からの再建に求められる確かな将来性【現地発】

THE DIGEST編集部

2022.12.28

ノイアーらベテランに加え、新進気鋭の若手も居並んでいたドイツ。しかし、優勝候補にも挙げられたタレント軍団は不完全燃焼のまま、W杯から去った。(C)Getty Images

「代表監督として初めてのワールドカップだ。誰がチームを助けることができるのか、誰がひょっとしたら我々にとってのマッチウィナーになれる選手なのか。試合における様々な状況を想定し、自分達の戦略を照らし合わせてみた」

 ドイツ代表監督のハンジ・フリックが、カタール・ワールドカップ(W杯)に向けた26人のメンバー発表を行なった記者会見の場で、そう力強く語っていたのを思い出す。だが、「自分達には間違いなく高いクオリティがある」と自信を口にしていたあの日から1か月後、ドイツに残ったのは無数の失望と"なぜ"という疑問だった。

 W杯通算4度の優勝を誇るサッカー大国は、グループリーグ突破もできないまま、無念の帰国を余儀なくされた。抱えている選手層を見れば、冒頭のフリックの言葉にも頷けるものがあったはずだ。
 
 守護神のマヌエル・ノイアーを筆頭に、守備陣はアントニオ・リュディガーなど実力派が君臨。中盤にもヨシュア・キミッヒ、イルカイ・ギュンドアン、レオン・ゴレツカ、ジャマル・ムシアラが居並び、最前線にはレロイ・ザネ、トーマス・ミュラー、セルジュ・ニャブリ、カイ・ハベルツなど、欧州トップリーグでプレーする選手が揃っていた。とくに国内最強を誇るバイエルン勢は、2019-20シーズンにチャンピオンズリーグで優勝も果たし、自信を深めていた。

 実際、ドイツ国内の識者もW杯で上位に食い込むと予想する者は多かった。直近のUEFAネーションズリーグで不甲斐ない戦いぶりをしていようとも、「前大会の反省を生かして、初戦から集中して臨むだろうし、準備期間の少なさは心配材料だとしても、それはどの国も一緒。大会を通じてチームとしてまとまりが生まれて成長していったら、上位進出だって十分に可能」という見方が大半だった。

 それが「どこまで行けるかは未知数だが、グループリーグ突破は流石にできるだろう」という目論見さえも叶わずに、選手にとっても、監督にとっても、ファンにとっても不完全燃焼で大会から姿を消した。ゆえに大会後のドイツ国内では様々な粗探しが行なわれている。
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欧州以外の国と試合ができる機会を失った影響