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海外サッカー

欧州では「下品なピエロ」も、母国では「情熱の象徴」。アルゼンチン代表守護神がW杯決勝後に放った言動に止まらぬ論争

THE DIGEST編集部

2022.12.27

W杯優勝後に挑発的な行動を見せて波紋を広げたE・マルティネス。彼の振る舞いはいまも物議を醸し続けている。(C)Getty Images

W杯優勝後に挑発的な行動を見せて波紋を広げたE・マルティネス。彼の振る舞いはいまも物議を醸し続けている。(C)Getty Images

 世界の頂点に立った南米王者を幾度となく救った守護神に対する賛否が渦巻き続けている。文字通り渦中の身となっているのは、アルゼンチン代表GKエミリアーノ・マルティネスだ。

 現地時間12月18日に決勝を迎えたカタール・ワールドカップでビッグセーバーぶりを発揮してきたE・マルティネスが批判を受けるキッカケとなったのは、母国が36年ぶりの戴冠を果たした試合後の振る舞いだった。

 まず、試合後のセレモニーで、対戦相手となったフランスのサポーターからブーイングを受けた30歳の守護神は、あろうことか表彰台で大会最優秀GK賞のトロフィーを股間に当てる挑発的な行動を見せたのである。

「僕に傲慢な態度は通用しない」――そう挑発行動の理由を語ったE・マルティネスはもう止まらない。帰国後に行なわれた優勝パレードには、南米サッカーを軽視する発言をしたフランス代表FWキリアン・エムバペの顔写真を貼りつけた赤ちゃん人形を持参。憤るフランス国民たちを逆なでするような振る舞いを見せたのである。

 E・マルティネスが取った一連の行動に対しては、大会後から怒りの声が多方面から噴出。現在プレミアリーグのクリスタル・パレスを指揮するパトリック・ヴィエラが「ああいう行為が本当に必要だったとは思わない。時に人の感情や判断はコントロールできないこともあるが、マルティネスの決断はあまりに馬鹿げている」と糾弾すれば、元リバプールOBで、英衛星『Sky Sports』の解説者を務めるグレアム・スーネスは次のように断じた。

「あれを面白いと思う人がいるのかが単純に気になるよ。私には下品なピエロにしか見えなかった。ゴールキーパーとしての彼は素晴らしいと思っている。なぜ、みんなの見ている前であんなことをしようと思ったのか理解できないし、彼のことは誇り高き戦士とは思えないね」

 さらに「母国の人々でさえも誇りに思えないんじゃないか?」と疑問を投げかけたスーネス。しかし、そんなレジェンドの予想に反して、アルゼンチン国内での人気は高まる一方なのである。
 
 アルゼンチン人作家のサンティアゴ・アミゴレーナ氏は、フランス・メディア『SO Foot』の取材で、母国民の心情を論じている。

「マルティネスはアルゼンチンの情熱の象徴だと言える。彼のセレブレーションは、特にサッカーに関して、私たちの中に存在する鬱憤を表現したものだった。フランスでは、彼の行動が『侮辱』とか『無礼』だと話題になっているが、アルゼンチンでは違う。ここでは下品とされるものに対する許容範囲が、フランスとは比較にならないほど広いんだ」

「おそらくフランス人にとってアルゼンチン人は極端すぎるんだ。私は一連の論争をスポーツと文化の対立だと位置づけている。アルゼンチン人は勝ったから、たとえやりすぎでもいいから過剰に祝う。そして敗者となったフランス人は言い訳を探す。これがサッカーというゲームだ」

 所属するアストン・ビラを率いるウナイ・エメリ監督が23日に行なわれた会見で「彼とは話をしようと思う。いくつかの話題となった喜び方についてね」と言葉を濁したために、E・マルティネスは一部メディアで去就問題への影響を取り沙汰されてもいる。

 南米と欧州で全く受け取られ方が異なる今回の騒動。それだけに論争がいかに収まっていくのかは興味深いところである。

構成●THE DIGEST編集部

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