海外サッカー

ブラジル国民が愛想を尽かしたW杯の涙。責務を放棄して“絆”も失ったネイマールの物語は終わりに近づいている【現地発】

THE DIGEST編集部

2023.01.14

クロアチア戦に敗れ、カタールの地から去ったネイマール。ピッチ上で人目をはばからずに悔し涙を流した彼だが、直後の行動が母国民たちの逆鱗に触れた。(C)Getty Images

 余計なことをペラペラと喋ったり、しなくてもいい行動をしてしまう輩を、ブラジルでは「黙っているチャンスを失ったヤツ」と言う。その観点で言えば、ネイマールはもう何百回もチャンスを失っていると言っていい。
【動画】ブラジル国民が熱狂したネイマールの驚異的なドリブルシーンをチェック

 昨年末に行なわれたカタール・ワールドカップ(W杯)準々決勝でクロアチア代表にPK戦の末にブラジル代表が敗れた日。栄光のナンバー10を背負ったネイマールはピッチに座り込んで涙を流した。

 試合後に自身のインスタグラムでは「僕の心は壊れてしまった。痛い敗北、10分間感覚が麻痺し、その後涙が止まらなかった。残念ながらこの痛みは長く続くだろう」と辛い心境を綴っていた。

 しかし——わずか2日後の12月11日には、ネイマールはサンパウロに住む妹のヴィラで盛大なパーティーを開いていた。ゲストは携帯の持ち込み禁止という限りなくシークレットな会だったが、その模様はあっけなく流出。そこにはアントニー含め少なくとも3人の代表選手が参加し、とにかく女の子がいっぱいいたという。
 
 その翌々日(13日)にもネイマールは小規模な別のパーティーに参加し、15日、16日はサンタ・カタリーナ州のリッチなビーチリゾートでサーフィンの世界大会を観戦。夜はポーカーで盛り上がり、17日には「Time is money(時は金なり)」と銘打ったゴージャスなパーティーを開き、あちこちに札束がデザインされた会場の画像がまたも流失した。

 別にパーティーを開くのは違法ではない。彼の傷心を慰めるために周囲が計画した慰労会だったのかもしれない。だが、ネイマールのパーティー三昧の日々は、いまだ敗戦のショックから立ち直れない中で、"宿敵"アルゼンチンの世界制覇を眺めていなければいけなかったブラジル国民の気持ちを盛大に逆なでした。SNSやメディアには、「心理的に破壊された人間がこんなに騒げるのか?」「結局、あの涙はパフォーマンスだったのか?」と言った辛辣な言葉が居並んだ。

 そもそも少し前から、ブラジルの人々はネイマールに嫌気がさしてきていた。どんなに期待しても、目に見合える結果は出せない。そして好き勝手に振る舞った挙句に、トラブルを繰り返しては、そこから何も学ばない。

 本当に愛想を尽かしてきていた状況下にもかかわらず、ネイマールは何が今の自分にとって大事なのかがまるでわかっていない。一番重要なのはブラジル人との絆を取り戻すことだったというのに……。
NEXT
PAGE
極めつけとなったペレの葬儀への対応