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海外サッカー

ブラジル国民が愛想を尽かしたW杯の涙。責務を放棄して“絆”も失ったネイマールの物語は終わりに近づいている【現地発】

THE DIGEST編集部

2023.01.14

かつてはブラジルを救う英雄になると期待されたネイマールだが、いまや国民との絆も薄まる一方である。(C)Getty Images

かつてはブラジルを救う英雄になると期待されたネイマールだが、いまや国民との絆も薄まる一方である。(C)Getty Images

 2017年8月にバルセロナからパリSGに移籍したネイマール。彼は“花の都”でも決して好かれてはいなかったが、ここにきて評判はますます落ち込んでいる。

 チームに合流してから初の公式戦となった現地時間12月28日のストラスブール戦(リーグ・アン第16節)でネイマールは、61分から約2分間で2度の警告を受けて退場になったが、2枚目は誰にでも分かるような明らかなシミュレーションによるものだった。

 その後、パリSGは元旦にレンス戦(リーグ・アン第17節)を戦ったが、ネイマールは出場停止だったおかげで、ロンドンでのカウントダウンパーティーに参加している。これは最初から予定されていたもので、本人に深い思惑はなかったのかもしれないが、そう思われても仕方ない。少なくとも頭が良ければ静かに過ごしていたはずだ。ちなみにフランスの日刊紙『Le Figaro』は「ネイマール、1年の終わりをパーティーマラソンで終える」と大きな見出しで皮肉っている。

 また、メッシがアルゼンチンでの休暇を終えてパリに戻ってきた日、チームメイトたちは並んで世界王者を拍手で迎えたが、ネイマールだけはメッシの尻に蹴りを入れている。親しい間柄だからの悪ふざけなのだろうが、これに眉をひそめる者も少なくなかった。この事実からも分かる通り、ネイマールは毎日のように誰かを怒らせ、悪い手本を見せている。自分の行動によってどういう反響が起きるかが分かっていないのだ。
 
 私はネイマールが少年の頃から個人的に知っている。近くで見る彼は友だち想いで、優しく、面白く、正直な、愛すべき人物だ。しかし、すべてにおいてあまりにも子どもすぎる。11歳の息子の父親で、この2月には31歳になるというのに、ニックネームは相変わらず「ネニーノ・ネイ(少年ネイ)」だ。

 これは彼が頭角を現してきた16歳の頃につけられたものだが、今でも皆からもこう呼ばれている。それはいつまでたっても中身が成長しないからにほかならない。

 いつになっても責任ある行動ができず、父親の後ろに隠れている子どものままのネイマール。何よりも始末が悪いのは、彼自身が、皮肉交じりのニックネームで呼ばれることを気にしていないところだろう。

 ブラジル国内、そしてパリでも逆風が吹いているネイマール。彼の物語は、今、限りなく終わりに近づいている。

取材・文●リカルド・セティオン
翻訳●利根川晶子

【著者プロフィール】
リカルド・セティオン(Ricardo SETYON)/ブラジル・サンパウロ出身のフリージャーナリスト。8か国語を操り、世界のサッカーの生の現場を取材して回る。FIFAの役員も長らく勤め、ジーコ、ドゥンガ、カフーなど元選手の知己も多い。現在はスポーツ運営学、心理学の教授としても大学で教鞭をとる。

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